晩秋の墓地を訪れて、墓碑銘を〈読んで〉みよう。

「あなたが私に愛することを教えてくれたから、苦しんでる」

ボクが住んでいるパリ北郊外にある人口5万人の町にも小さな墓地がある。この墓地には町の歴史が刻まれているような気がして、よくここを散歩する。
墓地の中央には、砲弾の形をした柵と鎖で囲まれた戦没兵士に捧げる碑が立ち、その脇には「Mort pour la France」と書かれた白い十字架がいくつもいくつも並ぶ。名前と兵士の階級と生没年月日が書かれているだけのシンプルな墓…。こんな小さな町でもこれだけの犠牲者が出ていることへの驚き。
そこから遠くないところに、素人っぽくポートレートまで刻まれた、ジェレミーさんに捧げる墓碑銘を見つけた。「私のズット*よ、あなたは逝ってしまったけれど、あなたの存在はいつまでもここに重く漂っているわ。あなたが私に愛することを教えてくれた。それだから私はとても悲しく苦しんでいる。あなたは逝ってしまったけれど、あなたはわたしにもっと近づいたのよ。あなたの光で私を照らしてほしい。おお、私のズット、なんてあなたを愛しているんでしょ。あなたはいつまでも〈私の不死の人〉。あなたのおちびさん」。その下には、彼らの愛が生まれた日と、ジェレミーさんが亡くなった日が刻まれていた。(真)

*ジェレミーさんのあだ名。”mazout”は重油のことで、車好きの(脇には赤いスポーツカーを刻んだ碑もある)ジェレミーさんをからかって”ma zoute”と呼んでいたのだろう。

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