加熱し圧搾してハードな身を持ったアボンダンス

コンテやボーフォールなどの、加熱し圧搾してハードな身を持ったタイプのチーズを〈pâtes pressées cuites〉と呼ぶけれど、このアボンダンスもその一つ。ボーフォール同様サヴォワ山地の名産だ。香り高い草花を食べている放牧牛の乳から作られているだけに、その風味は名高く、14世紀くらいから修道院で作られていた。1990年にA.O.C.として認められてからは、生産量も増え、パリでも容易に手に入るようになった。直径40センチ、高さ7センチ、重さ10キロ前後の大きなチーズ。
山ヤナギépicéaの棚の上で3カ月ほどかかって熟成される。皮はやや灰色がかった黄褐色、クリーム色の身は、ボーフォールほどには加熱されていないので弾力がある。味は若いものはこってりとしたミルク風味で、ノワゼットの香りも感じられる。熟成が進むにつれてこの柔らかな風味がなくなってしまう。もちろん食後にもいいが、このタイプのチーズは水分が少なく長持ちするので、少し多めに買っておいて、ピクニックの時などに薄く切ってサンドイッチに入れると周りの注目を浴びるだろう。アペリチフ用にさいの目に切っておつまみにしてもいい。おろしてグラタンに入れるのもおすすめ。(真)


Abondance