舞台・映画

宇宙飛行士とママ業の両立。『PROXIMA』

ミテフスカ、ズロトヴスキ、シアマ、ディオップ、メドゥール……。まるで何かの呪文のようだが、これは2019年に本欄で紹介した女性監督の名。そして今年最後の記事もまた、図らずして女性監督の作品になった。「女性らしい感性」などという表現は避けたいが、それでもこのドラマの設定には唸(うな)らされる。一言でいえば、宇宙飛行士とママ業の両立。巷に宇宙がテーマの作品は数あれど、壮大で哲学チック、時に荒唐無稽で正直こちらの感情が追いつかないこともあった。しかし本作は形容矛盾のようだが、実に地に足がついた宇宙飛行士映画だ。...

コスモポリタンな監督の憂鬱『It Must Be Heaven』

キリストが育ったイスラエルの聖地ナザレ。高台にはレモンの木がある家が建ち、無口なパレスチナ人ES氏が住む。演じるのは本作の監督エリア・スレイマン本人だ。彼の生活は奇妙な日常の断片で出来ている。国際派の彼は飛行機で海外にひとっ飛び。パリではプロデューサーに新作の企画を売り込むが、「パレスチナっぽくない」と断られる。ニューヨークでは友人の俳優(ガエル・ガルシア・ベルナル)のツテでプロデューサーに会うも、パレスチナのコメディに興味は持たれず。企画はなかなか進展しない。...

“お坊さんも変わっていかなければ ” カンヌ映画祭・特別招待作品『典座-TENZO-』

*『典座-TENZO-』の招待券プレゼント* カンヌ映画祭の批評家週間に特別招待された『典座-TENZO-』は、曹洞宗のお坊さんが主役の異色作。ワールドプレミアには袈裟をまとった日本の僧侶が多数参加し、華やかな南仏のコート・ダジュールでフラッシュを浴びた。“ZEN文化”になじみ深いフランスでは、彼らの存在は妙にしっくりくるものがある。『サウダーヂ』『バンコクナイツ』が国内外で高い評価を誇る富田克也監督の最新作だ。...

時代を締めくくる「バンリュー映画」の決定打。 『Les Misérables』

パリの北東に広がるセーヌ・サン・ドニ県。2005年にはクリシー・ス・ボワ市で、警官に追われたアフリカ系の少年が変電施設に逃げ込んで感電死し、国を揺るがす暴動に発展した。1980年生まれのマリ系フランス人ラジ・リは、その隣町モンフェルメイユで育った監督。自身がよく知る郊外が舞台の本作は、カンヌ映画祭で話題を呼び審査員賞を獲得した。現在は米アカデミー外国語映画賞のフランス代表に選出されている。フランスは1992年のレジス・ヴァルニエ監督『インドシナ』以来受賞に縁がなく、そろそろ栄えあるオスカー獲得に期待がかかる。...

第14回 キノタヨ現代日本映画祭「日本映画の多様性」フランスで紹介

*「第14回 キノタヨ現代日本映画祭」招待券プレゼント* フランスに昇る輝く “金の太陽”こと「KINOTAYO」。今年もフランス最大の邦画の祭典キノタヨ映画祭がやって来た。昨年度は日本文化の祭典「ジャポニスム2018」の影響で日程が後ろ倒しされ、例外的に年明けの開催に。14回目となる今回は、もともとの実施時期に戻って平常運転となる。...

“手”は思い出すー『J’ai perdu mon corps』

昨今、劇場では「大人の鑑賞に耐える」ではなく、はなから「大人がターゲット」のアニメの健闘が目立つ。最近では『Buñuel après l'âge d'or /「黄金時代」後のブニュエル』や『Hirondelles de Kaboul /カブールのツバメたち』があった。その流れの一つの到達点が仏人監督ジェレミー・クラパン長編第1作『J'ai perdu mon corps / 失くした体』。カンヌ映画祭批評家週間ではアニメ初のグランプリを獲得し、アニメの祭典アヌシー映画祭では最高賞と観客賞をダブル受賞。映画好きもアニメ好きも無視できぬ強力な個性の登場だ。...

セネガル系フランス人女性監督の話題作『Atlantique』

アフリカ系の女性監督がカンヌ映画祭のコンペティション部門に選ばれたのは史上初のこと。しかも長編第一作目にして、いきなりグランプリ(次点)を受賞した。さりげないロングシュートが予期せず大きなゴールに入ったようなもので、授賞式ではマティ・ディオップ監督本人が一番驚いているようにも見えた。カンヌ効果でネットフリックスも購入済みの話題作がいよいよフランス公開へ。1982年生まれのセネガル系フランス人の新星だが、すでに女優として活躍し、父はジャズ・ミュージシャンのワシス・ディオップ、叔父は映画監督のジブリル・ディオップ・マンベティという納得の血筋も誇っている。...

ヒエラルキーから開放された愛『Portrait de la jeune fille en feu』

フランス映画界が誇る才能セリーヌ・シアマが、カンヌ映画祭で脚本賞を受賞した話題作。名門映画学校フェミスの脚本科出身だけに面目躍如と言える受賞だろう。舞台は18世紀末のブルターニュ地方。主人公は二人の若い女性だ。マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は肖像画を描くために派遣された画家で、モデルとなるのは修道院を出たばかりの貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)。肖像画は望まぬ見合い用に描かれるため、エロイーズは協力的でない。絵は無事に完成するのだろうか。...
 

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