●ロワシー欠航と列車遅れの責任追及へ
12月25日付パリジャン紙。
飛行機の霜取りをするのに使用するグリコール剤不足のため欠航が相次ぎ、12月23日にロワシー空港で2000人が足止めを食う混乱があった件で、コシュースコ=モリゼ環境運輸相は1月2日、責任の所在を追及する姿勢を明らかにし、処罰もあり得ると発言した。エール・フランスが欠航はグリコール不足のためとする一方、パリ空港は5日、グリコールは結果的に十分あったと発言。現在、真相解明のための調査が行われている。
●社会党、35時間問題で揺れる
1月2日、社会党の大統領選候補への立候補を表明している国民議会議員マニュエル・ヴァルス氏が、2012年の大統領選に左派が勝利した場合は、週労35時間制について検討すべきと発言したことで、左派に波紋を投げかけている。社会党執行部や緑の党が、マスコミ受けをねらった戦略と批判すれば、社会党の大統領選候補であるモントブール氏は、35時間制はすでに骨抜きなので、議論は無用などと反論。サルコジ大統領は6日、「画一的、強制的35時間制はもう存在しない」と認めつつ、労働者の購買力低下を招かない限りは(見直すのは)タブーではないと発言。
●Mediator問題で被害者団体が提訴
糖尿病薬「メディアトール」の服用によって500?2000人が循環器系疾患で死亡したとされる問題で、被害者団体は1月5日、製造元のセルヴィエ社を相手取って近く110件の告訴をするとともに、さらに500件の告訴を準備中と明らかにした。同団体はすでに10件の告訴をしており、パリ検察局も12月に予審を開始した。メディアトールは1976年から糖尿病薬として発売されたが、販売が禁止された2009年11月まで空腹抑制剤としても広く使用された。セルヴィエ社経営陣は同薬だけが死亡の原因ではないとし、「犠牲者は3人だけ」と発言して物議をかもしたが、10日には責任を取る構えだと態度を軟化した。また、すでに1998年に健康保険金庫などによって危険性が指摘されていた経緯から、国の対応が遅れた責任も追求されそうだ。
●オンライン電子カルテ、4月から開始か
1月5日から電子カルテ「個人医療情報(DMP)」用のウェブサイトがアクセス可能になった。ただし、実際に情報を閲覧できるのは4月からの予定。検査などの重複を避け、緊急の場合に患者の過去の医療情報を得るなどの目的で、オンラインで医療機関や本人が電子カルテを閲覧できるDMPは2007年に導入が予定されていたが、個人情報保護対策が十分でないとして全国情報自由委員会(CNIL)が反対し、実施が遅れていた。医療情報のDMP化は任意で、本人が暗証番号を有し、医者のアクセスや情報の一部のアクセスを拒否することができる。こうした措置によってCNILが12月にDMPを認可し、5つの地域圏で試験導入されていた。
●ルノー産業スパイは中国系か?
1月7日付フィガロ紙は、ルノーに対する産業スパイが中国系らしいことがルノーの内部調査とフランス情報局の調査によって判明したと報じた。これに先立って、ルノーは電気自動車関係の極秘情報を外部に流したとして、経営委員会のメンバーであるミシェル・バルタザール氏ら幹部3人を停職処分にした。スパイ疑惑は昨年8月に持ち上がり、4カ月の内部調査の結果、3人の幹部の情報漏えいが発覚。しかしルノーは、漏れたのは開発中の電気自動車の構造や予算に関する情報で、エンジンやバッテリーなど重要な技術情報は漏れていないとしている。
●ニジェールで誘拐のフランス人2人、殺害
1月7日にニジェールの首都ニアメのレストランから誘拐されたフランス人2人の遺体が翌8日に発見された。通報を受けたニジェール軍が現地駐留の仏軍特別攻撃部隊とともに誘拐犯を追跡し、マリとの国境付近で銃撃戦となり、犯人を取り押さえた。ニジェール軍によると、人質の仏人の死体は別の場所で発見されたため、犯人によってすでに殺害されていたものとみられる。この2人は国際医療支援NGOメンバーで同国在住のアントワーヌ・ドレオクールさん(25)と、ドレオクールさんの結婚式のため同国に来た友人のヴァンサン・ドロリーさん(25)。マグレブ系アルカイダの仕業の疑いが濃いが、犯行声明は出ていない。