
遠ざかる、〈万人の高等教育への機会均等〉の理想。
フィリップ・バティスト高等教育相は4月20日、大学登録料に関して欧州連合(EU)域外の外国人学生とフランス・EU学生との区別を徹底し、かつ国が必要とする分野の学生を優遇すると述べた。
これは「よりよい教育のためにフランスを選ぼう」と銘打った施策で、EU域外からの学生で、新たに学士または修士課程に入る学生には、今年9月の新年度から学士課程の年間登録料を2895€(仏EU学生は178€)に、修士課程のそれを3941€(同現行254€)とする。10%の優秀な学生のみが登録料を免除される。これにより、2~3年後には大学に合計2億5000万€の収入増をもたらすという。
フランスでは伝統的に外国人学生も含めてわずかな登録料のみ徴収し、授業料は徴収しない制度だが、2019年にフィリップ内閣がEU域外学生に対して学士課程2770€、修士課程3770€の登録料徴収策を打ち出したが、多くの大学はそれに反対して免除措置を取っており、およそ1割の外国人学生しか高額な登録料を払っていない。
高等教育相はその免除措置を受ける学生を1割程度の例外的なものとするべきと強調。 さらに、デジタル、AI、量子力学、バイオテクノロジー、環境学、低炭素モビリティなどの戦略的分野や、フランスの再工業化に必要なエンジニアや技術者を養成する分野には仏政府の奨学金の6割が充てられるようにする方針も示した。
外国人学生への住宅手当もカット
しかし、学生組合は「すべての人への高等教育への公平なアクセス」を守るべきとして抗議行動を行なっている。折しもEU域外および奨学生以外の外国人学生は今年7月から公的な住宅手当(およそ月額150~250€)の対象外となるタイミングと重なり、外国人学生を排除する危険で差別的な政策と非難している。
クレルモン=オーヴェルニュ大学のマティアス・ベルナール学長は、23日付の声明で高等教育相の打ち出した措置は仏大学の魅力を損ない、才能ある学生の受け入れ能力を低下させると抗議した。同大学では5000人の外国人学生のうち3分の2以上はアフリカや中東出身であり、彼らにとって登録料は高額すぎると主張する。仏大学連盟も、登録料値上げで多少は大学の収入が増えても、大学への公的支援の慢性的な不足を補うものではないと反発している。
フランスは2024‐2025年度で約44万3000人の外国人学生を数え、仏高等教育機関の学生の14%は外国人だ(博士課程では38%)。外国人学生に人気のある英米の大学は授業料が非常に高額である一方で、万人への高等教育への機会均等の理想を掲げる制度を守ろうとするフランスの大学や学生の態度は称賛すべきだろう。(し)



