芸術の秋たけなわ。下町情緒も残るレピュブリック地区の展示即売会〈Des Filles en Aiguille〉へと足を運ぶ。本イベントは2003年より春と冬は1週間、夏と秋は2週間にわたり年に4回開催されている。会場には洋服、小物、カバンといったクリエイターによる「作品=商品」が並ぶ。値段は作り手が直接持ち込むアトリエ価格で、掘り出し物に出会える可能性が高い。 ヨーロッパには大規模なファッション見本市が多いが、ここは規模が圧倒的に小さい。参加ブランド数は20ほどに限定している。「私たちは親密な雰囲気を大事にしている。クリエイターは連日スタンドに顔を出すからお客との交流が活発。でも交流は作り手とお客の間だけにとどまらない」とイベント立案者のジェニファーさんとアリックスさん。なぜなら期間中肩を並べて頑張る作り手たちの間で、自然と仲間意識が芽生えて団結していくからなのだとか。 そもそもこの団結の精神は、イベントのあり方そのものと重なる。世の中はとかく宣伝力が幅をきかせているから、個人のクリエイターが市場にインパクトを与えることは至難の技。だが本イベントは小粒なブランドたちが世界観をある程度統一させながら集まり、力を合わせてイベント感を出すことで、有効的にメディアにアピールしているのだ。このようにあくまで作り手の視点に立っているのは、ジェニファーさんとアリックスさん自身がクリエイターであることが大きいだろう。さて今後は?「ニューヨークでも開催しないかと提案が来ていて興味を持っている。でも今の親密な雰囲気を崩すつもりはないのよ」(瑞) Des Filles en Aiguille(クリエイター商品展示即売会): |
イベント立案者のジェニファーさんとアリックスさん。 お客さんとの密接な交流が盛んです。 |