美味しく社会貢献しています。

エリックさんの本職はパティシエ。ワイン醸造業はボランティアだ。
エリックさんの本職はパティシエ。ワイン醸造業はボランティアだ。

— 区役所地下のワイン醸造所 — 

 ベルシー、ベルヴィル、ジョルジュ・ブラッサンス公園。大都会パリにも、目を凝らせばワイン畑が数カ所残る。中でも有名なのが、モンマルトルの丘に広がるパリ市所有の畑だろう。実はここのブドウの醸造作業は、パリ18区の区役所地下で行われている。
 今回迎えてくれたのは、ワイン醸造とワイン収穫祭に携わる非営利団体COFASのスタッフ、エリックさん。薄暗い部屋には、ブドウの房から果梗(かこう)を取り除く除梗破砕機、ブドウを搾る圧搾機、ワインのラベルを貼る機械などが並ぶ。思った以上にこじんまりとした部屋だ。「毎年モンマルトルの畑からできるワインは600本から1500本くらい。年によりバラつきがあり、2013年産は856本でした」。栽培される苗木は1762本、品種はピノ・ノワールやガメなど。モンマルトルでは半世紀以上も赤ワイン一筋だったが、昨年からロゼに変えた。「近年は天候が悪いから赤が難しい。でもまずい赤より、美味しいロゼの方がいいでしょ」
 筆者は試飲ができるかと淡い期待を抱いて来たが、話を聞くうちに無理だと気がついた。モンマルトルのワインは超高級品なのだ。「2013年産は一本50ユーロ、去年までは40ユーロ。高い?  僕も値上げには反対したよ」。でも正当な理由があった。売り上げは社会貢献に使われているのである。例えば18区のお年寄りにクリスマスの食事を提供したり、子供たちを遠足に招待している。天候も悪く、ワインの生産量が減少気味の昨今、値段を上げざるを得ないのもわかる。
 モンマルトルではもうすぐ恒例のブドウ収穫祭。今年は10月8日から12日まで開催だ。1934年から続く伝統行事で、ワイン畑見学会やパレード、郷土料理の販売など、街全体が大いに華やぐ。もちろんモンマルトルワインの販売もある。「私たちのワインを知る絶好の機会、日本人もぜひ遊びに来てください」(瑞)
モンマルトルワインは、モンマルトル観光協会で。
Le Syndicat d’initiative de Montmartre (21 place du Tertre 18e)で購入可。日本からもCOFASの公式サイト経由
www.comitedesfetesdemontmartre.comで購入できる。
除梗破砕機

除梗破砕機

ワインのラベルは毎年変わる。

ワインのラベルは毎年変わる。

年季が入っているブドウ圧搾機。

年季が入っているブドウ圧搾機。