歴代受賞者9万3千人、 女性10%、軍人3分の2。

あまり違いがわからない歴代のレジオン・ドヌール勲章。
あまり違いがわからない歴代のレジオン・ドヌール勲章。

— レジオン・ドヌール勲章博物館 — 

 曇り空の水曜、午後1時。カメラを手にした観光客が、オルセー美術館に吸い込まれてゆく。その向かいには壮麗な白亜の建物。警備員が「開館」の表示を出すが、目を留める人はない。ここはレジオン・ドヌール勲章博物館。筆者は一番乗りの客となる。入場料もオーディオガイドも無料だ。「オルセー帰りにたまたま入る人も多く、客数は1日100~150人くらい。宣伝はしていません」と、スタッフは余裕の笑みを浮かべる。改築を経て2006年に再オープンしたが、博物館そのものは1925年から存在する。オルセーより、ずっと先輩ミュゼなのだ。
 地下は勲章の歴史が追える展示室。廃兵院でナポレオンが授与式を初めて執り行い、周りが熱狂する様子を描いた絵がある。いろんな時代の勲章が並べられているが、正直、違いがわからない。だが「2重の輻射(ふくしゃ)を持つ星型」という勲章の基本型は、2世紀の間守られてきたことはわかる。
 液晶モニターには歴代の有名な授与者が映し出される。第一帝政時代の画家ダヴィッド、ブルボン復古王政期のユゴー、その後も細菌学者パスツール、実業家シトロエン、俳優ルイ・ジューヴェ、スキー選手ジャン=クロード・キリーなどなど。歴代受賞者は約9万3千人、女性10%、軍人3分の2。ただし近年女性は増え、軍人は減る傾向にある。この中で「アルコレの太鼓少年」という謎の人物を発見。ナポレオンがアルコレという地でオーストリア軍と闘った際に活躍した、14歳の太鼓叩きの少年だ。おそらく史上最年少の受賞者だろう。最近、経済学者トマ・ピケティが受賞を拒否し物議を醸したが、同館では当然ながら拒否した人には触れない。
 中2階に上がると勲章の名前が変わる。レジオン・ドヌール勲章以前に、中世の昔から存在してきた勲章や、外国の勲章が展示されている。日本の文化勲章もある。古今東西、とかく勲章の多さには目まいを覚えた。それだけ自尊心をくすぐる勲章システムは、国家にとって有益なものなのだろう。(瑞)
Le musée de la Légion d’honneur et des ordres de 
chevalerie : 2 rue de la Légion d’honneur 7e
M°Solférino/RERC Musée d’Orsay
水~日13h-18h。無料。
1804年、初の勲章を授与したナポレオン。

1804年、初の勲章を授与したナポレオン。

オルセー美術館の真向かいにある。

オルセー美術館の真向かいにある。