リキュールの魅力は 柔軟さにある。

フランス初の女性蒸留職人候補でガイドのマリオンさん。
フランス初の女性蒸留職人候補でガイドのマリオンさん。
— 「ノワヨ・ド・ポワシー」蒸留所 —

 パリから西に30キロ、RER-A線に揺られること25分、ル・コルビュジエが設計したサヴォア邸があることで名高いポワシー市に到着だ。目的はイル・ド・フランスに残っている最後の伝統的な蒸留所。ここでアプリコットの種子をベースにしたリキュール「ノワヨ・ド・ポワシー」が、昔ながらの方法で製造されているという。まずはガイドさんによる蒸留酒の歴史に耳を傾けてみよう。
 この蒸留酒の歴史は古い。中世の昔よりポワシーでは家畜市場が開かれてきたが、一説によると、17世紀後半に宿屋の主人が家畜の商売人にふるまっていたお酒が、すでに「ノワヨ・ド・ポワシー」だったという。
 1826年には、シャルル10世の義理の娘、ベリー公爵夫人が、このリキュールを大層お気に召し、ご褒美として製造元に銀のタンブラーをプレゼント。この誇らしい逸話は、こはく色のリキュールの商品名「銀のタンブラー Sceau de Saint Louis et Gobelet d’Argent」として、今も引き継がれている。その後は、商標登録をめぐって30年以上も二つの家系が争った時代もあったが、前世紀半ばにはデュモン家がデュヴァル家に秘伝レシピと営業権を譲ったことで、争いは終結。長い歴史は、山あり谷ありなのだ。
 さてガイドのマリオンさんによると、リキュールの魅力はその柔軟さにあるという。「アペリティフやディジェスティフ(食後酒)としても楽しめ、デザートや料理にも使えます。またどの季節でも美味しく飲めますね」
 現在、同社では3種のリキュールを、年間で4万5千本を生産し、ほとんどがポワシーのあるイヴリーヌ県内で消費される。基本的に、地産地消のご当地ものなのだ。300年以上にわたって受け継がれてきた製造法は極秘。現在も知っているのは、製造に関わる3人の社員だけ。その中に、実はマリオンさんも入っている。「社長から『フランス初の女性蒸留職人にならないか?』と誘いを受けたのです。今は一から蒸留の勉強をしているところ。原料の分配はミリグラムの世界ですから、大変ですよ」(瑞)
●Noyau de Poissy
105 rue du Général de Gaulle, 78300 Poissy 
01.3965.2059 火~土10h-12h30/14h30-19h
定期的に見学会あり。日程は問い合わせ要。
5€/3.9€(6~16歳)。
輝く蒸留釜の数々。

輝く蒸留釜の数々。

見学会では飲み方まで伝授。

見学会では飲み方まで伝授。

銀のタンブラーのレプリカ。

銀のタンブラーのレプリカ。


 

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