エミール・ゾラ(1840-1902)は、19世紀のフランス社会を代表する文学者のひとりだ。先輩作家バルザックの『人間喜劇』に匹敵するようなものをと、第2帝政下のある家族をめぐる壮大な連作『ルーゴン・マッカール叢(そう)書』を残した。また、晩年はユダヤ人将校をめぐるドレフュス事件に際して「私は弾劾する!」を発表。イギリスで亡命生活を送ったことも。
そんな勇敢な共和国主義者の足跡をたどって、まずは作家が24年間過ごしたパリ郊外メダンの家を訪れることに。モーパッサンやユイスマンスなどの若い作家たちや名編集者たちも集ったこの家は、今も当時の面影を伝えている。(さ)
構成・文・写真:アトランさやか
書斎にある肖像画と中世の剣。 ゾラはこの時代の作家の例にもれず中世に憧れていた。