OVNI 584 : 2006/3/15

「私は学生だけれど、15日間の試用期間を2回繰り返した後に正規採用されて、週20時間映画館の売店で働いている。CPEで採用されていたのなら、この仕事をまだ続けられるのかどうか確かではないから心配だろうな。今の給料は月650ユーロだけれど、これがないと家賃が払えないことになるし…」
3月7日の〈初採用契約(CPE)〉反対デモでトゥールーズの女子学生。

「CPEで仕事につくことができる若者たちもいるとは思うけれど、不信感はぬぐいきれない。仕事に適しているかどうかは2カ月も経てばわかるはずだ。2年間の試用期間というのはあまりに長すぎる。2年目が近づいてきた時に、〈お前の顔が気にくわない。解雇だ〉ということも可能なんだから」
パリ大学法学部3年生のラファエル。

「CPEは若者たちを助ける法律ではなく、経営者のための法律だと思う。バカロレアの試験も近づいているし、政府が一刻も早くこの法案を撤回するように、がんばりたい。いざとなったら一年を棒に振ることになってもかまわない。なんていったって僕らの将来がかかっているのだから」
レンヌの高校3年生、オレリー。

Dico
CPE

(セーペーウー 名詞)

  3月初めに国民議会と上院で可決された機会均等法 “Loi sur l’égalité de chances”。そのかなめの一つが、若者の失業対策と政府が自負する”CPE : contrat premier embauche 初採用契約” だ。これまでの “CDI: contrat à durée indéterminée 無期限採用契約” や “CDD: contrat à durée determinée 期限つき採用契約” に比べて、いつでも解雇できる試用期間が2年と長いため、大学生、労働組合の間で反対の声が強い。全国で100万人近くを動員した3月7日のデモでも、”C pour chomage, P pour précarité, E pour éjectable. Cは失業、 Pは不安定な職、 E は解雇!” というスローガンが目立った。(真)


3月7日、フランス全国で反CPEデモ。
労組CGTによると100万人、警察発表では40万人が参加する大規模なものになった。大学の学内封鎖など学生の反対運動は全国に拡大している。
43%=>36%
2月22日から23日にかけてフィガロ・マガジン誌が行った世論調査によると、ドヴィルパン首相の支持率が急降下。前回より7%減の36%。

12万人
3月7日の反CPEデモのパリでの動員数。それに次いで、マルセイユとトゥールーズが3万人、ボルドーが2万5000人、リヨンが1万5000人。

●〈誘拐警告〉、テレビなどで放送
 子供の誘拐事件を短時間に多くの人に知らせる米国の制度に倣った法務省の誘拐速報システムが発足した。クレマン法務相は2月28日、未成年者が行方不明になった際に、迅速に情報を収集するための〈誘拐警告〉協定に署名。この協定は法務、内務、国防、運輸の各省とテレビ・ラジオ局、公共交通機関などの間に結ばれ、未成年者誘拐事件で被害者が危険な状態にあると判断された場合、テレビやラジオの番組を中断して誘拐犯や子供の特徴、無料電話番号などを放映・放送したり、高速道路や駅の掲示板に表示することを規定する。
●欧州委、スエズ問題で仏政府に説明求める
 欧州委員会は3月3日、仏スエズ社に対する敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仏政府が不当に妨害し、域内の自由な資本流通の原則を侵したとする伊電力会社エネルの訴えを受けて、仏政府に説明を求めた。エネル社によると、同社は仏ヴェオリア・アンヴィロヌモン社の協力のもとにスエズ買収計画を進めていたが、仏政府がヴェオリア社に圧力をかけて計画から手を引かせ、同計画に対抗するために、スエズ社と仏ガス公社(GDF)の合併計画を打ち出したとしている。
●ドパナフュー氏、UMPのパリ市長候補に
 2008年3月に行われる市議会議員選挙での民衆運動連合(UMP)のパリ市筆頭候補(市長候補)を決める第1回党内予備選挙が2月25日に行われ、フランソワーズ・ドパナフュー国民議会議員・パリ17区区長が40.69%の得票率でトップに立った。予備選にはクロード・ゴアスゲン・パリ市議会UMPグループ代表、ジャン・チベリ前パリ市長、ピエール・ルルーシュ氏が立候補。23.38%で次点につけたゴアスゲン氏が2月28日に候補を取り下げたため、3月4日の決戦投票を待たずに、ドパナフュー氏がUMP公認市長候補となった。
●チクングンヤ熱の流行収まらず
 海外県レユニオン島で猛威を振るう<チクングンヤ熱>の勢いが止まらない。この病気は、蚊によってウイルスが伝播し、高熱と関節痛を伴う感染症。3月3日時点で島の人口の約4分の1にあたる約186 000人が感染し、死者は93人に上った。また、同島の北にある海外領土マイヨット島でも2000人が感染。仏政府は900万ユーロの研究費を投じるとともに、薬や蚊帳の配付、蚊の駆除に取り組んでいるが、政府の対応の遅さを非難する声が高まっている。
●鳥インフルエンザ、家禽業界に国の援助
 仏中東部アン県などで七面鳥や野生のカモの鳥インフルエンザH5N1型への感染が確認されたことを受けて、家禽業界への影響が深刻化している。フランスの家禽肉とフォアグラなど関連製品の禁輸措置をとる国が増え(3月1日時点で43カ国)、家禽肉の売上が減少するなか、家禽業界への援助として計6300万ユーロ(飼育農家に2500万、家禽流通業界に3000万、操業停止の給与補償に350万など)を決定、3月7日には第1回目の支給を開始。
●CPE反対の声が高まっている
 政府が導入を強く推進する〈初採用契約CPE〉を盛り込んだ機会均等法案が国民議会と上院でそれぞれ3月8日、9日に可決され、最終成立した。26歳未満の若者の採用について理由提示を必要としない2年以内の解雇を可能にするこのCPEには労組や学生の反対の声が高く、リベラシオン紙が3月2、3日に行った世論調査でもCPE撤回を望む国民が59%に上っている。