“Göttingen”
1964年7月、バルバラはドイツのゲッティンゲンに住むファンに招かれて初めてドイツにおもむく。ユダヤ人で、ナチスの目を逃れてフランス各地を転々としたバルバラには決意のいることだった。 会場の舞台には、契約ではグランドだったのにアップライトのピアノが。「これでは歌えないわ」というバルバラのために、学生たちが手分けしてグランドを見つけ、運んでくれる。
歌い終わると、超満員の観客からスタンディングオベーション! 滞在は1週間に延び、バルバラはこの町がすっかり好きになり、すぐさま歌詞にとりかかる。「セーヌもヴァンセンヌの森もないけれど、ゲッティンゲンのバラはなんてきれいなんでしょう(…)パリだってゲッティンゲンだって子どもたちはみんなおんなじよ」。愛の力が過去の傷を洗い流していく名曲だ。
O faites que jamais ne revienne
Le temps du sang et de la haine
Car il y a des gens que j’aime,
A Göttingen, à Göttingen.
血や憎しみの時が
二度ともどってきませんように。
ゲッティンゲン、ゲッティンゲンには
私の愛する人たちがいるのです。
(文・歌詞訳:真)