フランスも高齢化が拍車をかけて進んでいる。
2015年時点で60歳以上の人口が20歳未満の人口を越えた。
現在、85歳以上は140万人、2050年にはその4 倍の約560万人に膨れ上がる。北方諸国並みの社会保障が進んでいるとはいえ、認知症の高齢者は120万人、アルツハイマー病患者は100万人におよぶ。
老人ホーム(メゾン・ド・ルトレット)は全国に約1万、高齢者を対象とする集団宿舎(フォワイエ)約1千、政府公認の高齢者受入れ家庭などが、人口の1%、約65万人の高齢者を収容。85歳以上になると25%の高齢者が老人ホームで暮らしていることになる。
老後も自宅に住み続けたいというフランス人は77%を占める。とはいっても認知症が進んだとき、夫か妻がそばにいればすこしは救われるが、親思いの娘か息子にも頼れない場合が多い。老人ホームへの入所は、月最低2000ユーロから3000ユーロはかかる。年金だけでまかなえる老人は、それほど多いとは思えない。
フランス政府の高齢者社会への対応政策は、これからと言えるのである。
取材・構成・文:小沢君江