高齢化するフランス。

在パリ50年の日本人女性

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クミコさん(83歳)は1964年クリス・マルケル監督の『不思議なクミコ』に主演している。

65年に来仏し映画関係の仏男性と結婚したが数年後に離婚。双子の娘(作家と装飾家)を持つ。詩人、作家でもあり、芭蕉の句の翻訳などもした。数年前からアルツハイマー病になり、現在パリ北東郊外のサント・マリ・パドゥ老人ホームに入所している。

この施設は、18世紀に修道女らが孤児院を運営した建物で礼拝堂もある。モダンな内装はホテルのようで100室の個室が並ぶ。ほとんどの老人は、車椅子に腰掛けてリビングにいるが、おしゃべりしたりトランプしたりする老人は少なく、誰も見ていないテレビはつけたまま。なかには寝たきり老人もいるが、天気のよい日は、歩ける老人は数ヘクタールもある庭園を散歩でき、夏にかけては数本あるサクランボの木の枝から真っ赤な実をもぎって食べてもいい。

ほとんど日本語を話す機会がないのにクミコさんは一貫性のない話題を日本語で話してくれる。ほとんどが車椅子の老人が集まっているリビングで、皆が「彼女はいつもにこやかなの」とほめる。

ある日曜日の午後、シャンソン歌手マリ・カズエさんとクミコさんに会いに行き、リビングでピアフの歌を何曲か歌ってもらうと、懐かしそうにリフレインを合唱する老人もいた。90歳以上と見られる男女が車椅子に座ったまま、互いに手を握り合っていたのが印象的だった。 最後にクミコさんは私たちを見送りながら「鳥になってここから飛んで行きたいよう!」と繰り返す。

◎入所料 (2016年)
60歳未満 : 1日92.87€ / 60歳以上 : 74.48€
◎介護料 (1日)
要介護度1-2 : 22.32€ / 3-4 : 14.16€ / 5-6 : 6.04€

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