anchoisはカタクチイワシ類の、大きくなっても20センチくらいにしかならない魚。地中海、大西洋の沿岸で漁獲される。イワシより細長く、下あごの上方に鼻面が突き出している。時々キラキラ輝くような活きのいいものが魚屋に並ぶことがあるが(揚げたりマリネにするとうまい!)、ふつうは塩漬けにされ缶詰や瓶詰めになる。塩漬けにされたアンチョビーは、地中海料理に欠かせない独特の風味を持つようになる。
スペイン国境から26km、地中海に面した小さな町コリウールの名産で、頭やハラワタを取ったり、三枚におろしたり、塩漬けしたりといった作業がすべて手仕事という高級品だ。塩漬け、ビネガー漬け、オリーブ油漬けなどになって市販されている。
一般的に塩漬けは塩加減がきついので、身も柔らかくなり、塩加減もやや甘い油漬けがおすすめだ。そのまま、あるいは塩出ししたものをトーストしたパンにのせれば簡便なおつまみだ。タプナードなどのペーストに加えたり、パスタに混ぜ入れたり、野菜や魚のタルトの味を引き立てるために使ったり、bœuf des marinièresのような煮込み料理の隠し味にしたり、と万能選手。ぜひ常備したい食品だが、やはり魚が原料、冷蔵庫で保存することを忘れないように。