たとえフランス生活が長くとも、日本の習慣を維持している例がある。例えば、家では靴を脱ぐこと。靴を脱いだ方がリラックスできるからという人が圧倒的だ。日仏カップルの場合は、加えて、衛生的だからという理由で、〈靴脱ぎ〉に同意するフランス人パートナーも多い反面、日本人パートナーが靴を脱いでいても、今までの慣習を変えない人ももちろんいる。
今回のアンケート*の質問は、「自宅では玄関で靴を脱ぐ」かどうか。フランス人と結婚している人も多いし、家の構造から靴を履いたままのほうが便利なこともあるので、自宅でも靴のままの人が何割かはいると想像したが、集計結果は、86%の人がYes。この数字には、靴は脱ぐが玄関でなく寝室でとか、大体脱いでいるが靴のままの場合もありという人は含まれていないので、実際には、約9割の人が自宅で靴を脱ぐ習慣を持っているようだ。
お客さんが来た場合は? との設問には、脱いでもらう18% 、スリッパなどに履き替えてもらう32%、靴のままでOK 28%、脱いでもらうかスリッパか靴のままか人による16% というように、だいたい半数の人がお客さんにも靴を脱いでもらっていること、さらに、スリッパを用意している家庭がなかなか多いことが判明した。
お客さんにも土足禁止令を出している家庭でも、EDFや配達、修理や工事に来る人にはさすがに徹底できず、仕方がないという人が大半。それでも、その対策として「新聞紙をしく」「その後雑巾がけ」という潔癖な人も。
「中年以上の人に靴を脱いでもらうのは気がひける」「靴もコーディネイトしている女性には言いづらい」「お年を召した大家さんには言いにくい」が、「子供の友だちには脱いでもらう」という区別が面白い。「子供に『早く脱いでもらいなさい』と日本語で言う」のは何とも微笑ましい光景だ。(里)
*2008年4月 OVNI 編集部調べ。