文化ヒカク:日仏スポクラ事情 5月15日号

郷に入ったら郷に従え。
 ぶつかる、ぶつけられるのが当たり前、ピッカピカの新車を大切にパリで乗ろうなんて考えがそもそもの間違い。これと同じで、レッスンごとに新商品ウエアのお披露目会にすらなりえる日本のスタジオレッスンと違って、パリは着の身着のまま。靴を履き替えることもないから、床も汚い、でも、そこにヨガマット敷いて、一見優雅に胎児のポーズで瞑想しちゃったりするのがおフランス。
 これには、日本のジムからはじめた私には当初、なかなか衝撃だった。私も一応これでも、奥ゆかしい日本人、ぶつかられる度についつい場所を譲るようにしてたら、どんどん自分が壁においやられる始末。さすがにカチンときたので、こちらもぶつかり返しながら、思いっきり相手の足を踏んだ後に、《あらぁ、ごめぇんあそばせぇぇぇえっ♪》と、実力行使に出たことも数度。こうでもしないと自分の場所を取り返せないからしょうがない。郷に入ったら郷に従え、というわけだ。
 に、しても…譲り合いの精神ってえのも、時と場所によっては、本当に考え物よなぁ等、そんなこと考えながら私がヒップホップにはじけ汗まみれに踊っていたとは、誰も思いもしないだろうが。
 こんな衝突があっても、ラテン気質はあとをひかないので楽ちんだ。もし、同じようなことを日本でしたら…。(続く)

文・もたい ようこ