消防士が大蛇と格闘。
ローズマリー、ラベンダー、オークの木…自然に包まれた、エクサンプロヴァンスから25キロのところにある南仏で最大規模の動物園「Zoo de la Barben(バルバン動物園)」。スターのシロサイら120種600頭の動物が共存する。ここでたまたま地元消防士による、ハ虫類の捕獲訓練現場に遭遇した。ペット熱が高いフランスでは、以前から動物を飼う人は多め。だが飼い始めてから飽きたり、世話の難しさに気が付いて動物を捨てる不届き者が後を絶たない。「本園でも動物の置き去りがあります。猫や亀が多いですが、昨年の大みそかには、ワラビーが門の前にいて驚きました」とスタッフ。また園に置き去りにするのではなく、危険なハ虫類が、場所を選ばず捨てられることだってある。そんな時に活躍するのが消防士だ。フランスの消防士は火を消すだけではない。日ごろから救急隊員としても協力してるし、革命記念日には恒例のダンスパーティを催す。そして通報があれば、大蛇や大イグアナとだって格闘しなければならない。国民の人気が高い職業だけはあるのだ。
朝9時。飼育係の男性が大蛇入りの缶を持って登場した。ふたを開けると中から体長2メートルはありそうなパイソンが体をしならせゆっくりはい出してきた。飼育係さんは「蛇はそれぞれ性格が違うので注意して」と模範演技を披露する。柄が長いほうきを使ってヘビの頭をしっかり抑えるのがコツ。また大イグアナの場合は足をつかんでしまうのが有効だそう。
消防士たちは順番に捕獲に挑戦。動物に予想外の動きをされると一瞬ひるむが、皆問題なく捕獲していた。時に笑いや拍手もあがり、普段はポーカーフェイスを決め込む消防士たちのお茶目な素顔がいい。女性隊員だって危険な大蛇オオアナコンダの捕獲に見事成功していた。「ストレスを感じるけどいい経験ね。でもヘビはやっぱりバラの香りではなかったわ!」。ご苦労さま。(瑞)
ほうき使いが大蛇捕獲のコツ。
バルバン動物園のスターはシロサイ。
大イグアナの触り心地は?
足をつかむ。
大イグアナを手中におさめた。