東京の父から小包が届いた。在仏12年にして初めてのことである。「アルファベットが難しいから住所が書けない」とかいう変な理由で、これまで手紙さえもらったことはなかったのだから驚いた。なかみはミラの誕生日ということで子供服がメインではあったが、なぜか私のための洋服もちらほら。もちろん気持ちは嬉しいのだが、洋服の趣味が何というかイマイチ。正直、自分にはあまり着たいものがなかった。
それでついミラに向かって「あちゃー、こんなの新品で買うなら、本や食べ物が良かったよ、アハハもったいない」とか、「世の中には人が欲しい物より自分があげたい物をあげる人がいるからさ」など、言いたい放題の暴言を吐いていた。すると次第にミラの顔は曇り、ついに仁王立ちスタイルに。そして「ママはひどい! 意地悪だ! せっかくじいちゃんが送ってくれたのに。可愛い洋服じゃない、大好きだよ」とカンカンに怒り出した。挙げ句の果てには「じいちゃんはママに命をくれた人でしょう!」と、説教風の名言まで飛び出し思わず平伏したくなる。
そんな一悶着(もんちゃく)はあったが小包に添えてあった父からミラへの手紙は良かった。「誰にでも優しい女の子になってください」という文句は、私への当てつけに見えなくもないが、まあ有り難いことだ。本当に私に似ないで誰にでも優しい女の子になってくれることを願っている。(瑞)