若くして「フランス最優秀職人(MOF)」の称号を得ているルイーズさん。コルセット作りの職人としては、ここ20年で二人のみが得ている栄誉だ。「4歳ですでに祖母から刺繍(ししゅう)をするように仕向けられていた。ミッキーの顔を刺繍したのをよく覚えてる」。モード学校に入学し、先生に「コルセットができれば何でも作れる」と言われたことが、ヤル気を刺激したという。卒業後はデザイナーのアトリエでモデリスト、裁断師といった経験を積み、併せてベテランのコルセット職人から個人指導を受けた。そして実力が熟してきた5年前、ついに独立を決意。パリ17区に自分のアトリエを構えた。注文の多いブラジャーをはじめランジェリー全般を手がけるが、「ブラジャーが誕生したのはせいぜいこの100年。その前はずっとコルセットが主流よ」とニッコリ。 さて現在、コルセットの大半は「健康用」か「結婚式用」の名目で購入される。「普段のお洒落用」に求める人は少なめだが、ルイーズさんは「最近、バーレスク・ダンサーのディタ・フォン・ティースがパリでお色気満点のショーをしていることが人気を再燃させている」と分析する。 仮に人気が再燃しているとしても、コルセットから「選ばれる女」になることが大変なのだと思うが…。「いえいえ、まずは敷居の低い腰当てタイプ(serre-taille)から始めるといいですよ」。早速サンプルをとりだし、服の上から私の腰に装着してくれた。美しいラインが作られるうえに、ヘルニア持ちの腰はすっと伸び、いくぶん高貴な気持ちにさえなる。「前に熱愛中の82歳のおばあさんに、お腹が引っ込むための特製ショーツを作ったの。「恋愛と誘惑」に適齢期はないと知ったわ。女性は彼女を見習って、もっと積極的に美しくならなきゃ。下着は自分への敬意も表すわ」。怠惰な私には耳が痛くも、勇気が出るお言葉を賜った。(瑞) Atelier et Boutique de Louise Feuillère : |
フランス最優秀職人(MOF)のメダルと、彼女に称号をもたらした記念の作品を手に。
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