先日、恐がりのミラが意外にも予防接種の注射を難なくこなしたので、これは良い機会と、血液検査の注射もさせることにした。私はBでジルはOだからミラはBかOだろう。自分と同じBだったらうれしいと思い、ミラに「B型はだらしなくてマイペース。でも芸術家っぽくて面白いから、ぜひママと同じB型をすすめるよ。パパと同じO型は、友だちたくさんでイイ人も多いけど、凡人でつまらない人生かもね」と言うと、ミラはちょっと考え、「…O型がいい」とボソリ。ジルにそんな話を電話ですると、「フランスには血液型を気にする人なんかいない」と笑う。
ついに検査の当日。予防接種の注射と違い、血液検査の注射は太かった。しかも2回も打つのだ。1回目で「痛ーい」とすっかり涙顔のミラに、「もう1回打ったら美味しいケーキ買ってあげる」と食べ物でつって応援する。注射の最中、看護婦さんに「フランス人は自分の血液型すら知らない人が多いけれども、事故で急に輸血が必要な時は困るのでは?」と聞いてみたら、「本当に緊急時は、誰でも使えるOのマイナス型を使うんですよ」とあっさり。そうだったのか。ミラはケーキにつられて、無事2回目をこなした。そして後日、結果を受け取りに行く。結果はO型だった。「うれしいなぁ」と小躍り気味のミラ。なんでO型だとそんなにうれしいわけ? どこまでも納得のいかない母であった。(瑞)