「私たちが情報をガラス張りにしようとする度に、市民の間に危機感を引き起こすとしたら、どこかに問題がある」
7月18日、トリカスタン原子力発電所を経営するアレヴァ社のアンヌ・ローヴェルジョン会長。
「この法案はよくできている。これに含まれている内容のほとんどは、フランソワ・ミッテラン(元大統領-社会党)やリオネル・ジョスパン(元首相-社会党)からきているのだ。社会党員は、自分の信条に反して反対票を入れるというのだろうか。私にはそれができない」
7月21日、ヴェルサイユの国民議会・上院合同会議で、制度改革法案に、社会党内で唯一の賛成票を投じたジャック・ラング元文化・教育相。
1934ユーロ
フランス人の1世帯当たりのバカンス予算は、今年は昨年より72ロ下がって1934ロ。この1年間で物価が3.6%上昇したことが大きく影響しているようだ。ヨーロッパの平均は2206€。
7月8日、ヴォクリューズ県トリカスタンの原子力発電所で、ウラニウムを含む廃水の貯蔵タンクからウラニウム74キロが流出し、近くの河川に流れ込んだ。同日午後4時、一部の水道の使用、釣り、水泳が禁止された。15日、トリカスタン原発付近の地下水からウラニウムが検出されたと市民団体〈Criirad〉が発表。17日、ジャン=ルイ・ボルロー環境相は、すべての原子力発電所周辺の地下水を調査することを要請した。
Dico :●centrale nucléaire
(サントラル・ニュクレエール 名詞)
原子力発電所は “centrale nucléaire”。”centrale” は発電所という意味で、例えば水力発電所は “centrale hydraulique”、火力発電所は “centrale thermique” となる。”nucléaire” は「核の」、「原子力の」という意味の形容詞。「原子炉」は “réacteur nucleaire”、「核分裂」は “fission nucléaire”、「核融合」は “fusion nucléaire”、「核実験」は “expérience nucléaire”、「核兵器」は “armes nucléaires”となる。原発で使用される「核燃料」は “combustible nucléaire”、「放射性廃棄物」は “déchets radioactifs”。燃料のウラニウムを効果的に使用し廃棄物も少ないとされる新世代の原子炉 “EPR” は “Réacteur pressurise européen(英語でEuropean Pressurized Reactor)” の略だ。
●ユダヤ人少年暴行の主犯は仏軍パイロット
6月21日、パリ19区で少年(17)が数人から暴行を受け重傷を負った事件で、7月11日、主犯とみられる26歳の男性が逮捕された。このフエッド容疑者は、ヴァル・ドワーズ県タヴェルニー空軍基地に配属されたパイロットであることが判明。容疑者は暴行現場にいたことは認めたが、松葉杖で強く殴打したことは否認。
●「アイルランドは再投票すべきだ」
6月12日、アイルランドがリスボン条約(EU憲法改革条約)を国民投票で拒否し、7月1日よりEU議長国になったフランスのサルコジ大統領の出方が注目されていたが、7月15日、同大統領は「アイルランド人は再投票すべきだろう」と発言。アイルランド人の間に「2005年にフランスが国民投票で欧州憲法を拒否した時に私たちは何も言わなかった」などと強い反感をかった。7月21日、アイルランドを訪問したサルコジ大統領は、「国民投票をもう一度やるべきだとは決して言っていない」と低姿勢。
●GDF=スエズ社誕生
7月16日、株主総会で99.5%以上の賛成を得て、GDF(フランスガス公社)とスエズグループとの合併が成立しGDF=スエズ社が誕生。総売上高749億ユーロで欧州一のガス供給企業になる。会長には元スエズ会長のジェラール・メストラレ氏、副会長には元GDF会長のジャン=フランソワ・シリル氏が就任。国は35.6%の株を保有し、大幅の値上げなどに対しての拒否権を維持する。
●無人島から4人の白骨死体
7月18日、フィニステール県モレーヌ諸島に位置する無人のケメネス島で、白骨死体4体が発見された。この4死体は、若い男3人と女性1人のもので、いずれも衣服やアクセサリーを身につけていず、1966年から1970年のものということがわかった。当時、この島には、40人ほどが生活していて、軽犯罪で有罪になった男性服役者のための施設もあったというが、4人が行方不明になったという記録は残っていない。
●プラスチック爆薬28キロが盗まれる
7月18日、ローヌ県コルバにある要塞(内務省爆発物処理局)から、プラスチック爆薬セムテックス28キロが盗難にあっていることが判明。セムテックスは変形が容易で探知することが極めて困難なため、テロリストの好む爆薬の一つで、250グラムで飛行機を爆破できるという。1988年に270人が死亡したパンアメリカン航空103便爆破事件では、約300グラムのセムテックスが使用された。
●制度改革法案、1票差で可決される
7月21日、ヴェルサイユ宮殿で開かれた国民議会・上院合同会議で、フランスの現行憲法の改正につながる制度改革法案が可決された。可決には両院の有効投票の3/5以上の賛成が必要だが、それを1票上回る539票(反対357票)という僅差! 反対票を投じた社会党内では、この制度改革委員会の副委員長で唯一の賛成票を投じた同党のラング議員に「脱党すべき」という非難の声。この制度改革はサルコジ大統領が最優先していた法案の一つで、大統領の再選は一度のみで2期10年に制限する。大統領は両院合同会議で演説することができる。大臣職に就いて議員を辞退した人は、大臣職を解かれたり内閣が総辞職した場合、自動的に議員に戻ることができる。議会での投票を待たずに内閣が法案を押し通すことができる49-3条項は、国会の各会期に一度だけ使うことができる(予算法案、社会保障関係法案をのぞく)。市民も、法案が憲法に違反すると思った時は憲法評議会に訴えることができる…などがその内容だ。
