パリの共同庭園で花作りや野菜作りを楽しむ園芸のエキスパートにアドバイスをもらう。
環境問題に敏感なドラノエ市長率いるパリでは、市の応援のもと、住民がアソシエーションを立ち上げ運営する「共同庭園Jardins partagés」が、市内に50近くも存在する。都会暮らしで、自分の庭やバルコニーを持ちにくい人が会員となり、共同で庭を管理しながら、花作りや野菜作りを楽しんでいるのだ。多くの庭園が、週末を含む週2日の数時間を一般開放の日に当てているので、気軽に見学ができる。今日は、20区のピレネー通り沿いにある共同庭園「ルロワ・セム」の開放日にお邪魔して、会員のロマンさんに、パリなど都会で花作りを楽しみたい人向けのアドバイスをうかがってみた。
初心者でも育てやすく値段も高くない花はなんでしょうか?
「ゼラニウムgéraniumが、家庭園芸の花として、フランスでは大変ポピュラー。他の花も楽しみたい人は、秋に植えるスイセンnarcisse、ムスカリmuscari、クロッカスcrocus、ヒヤシンスjacintheの球根が簡単かな。5ユーロもあれば、花によるけど球根がいくつも買えます。ただこれらの球根は春先にしか咲きません。それまでは同じ花壇にパンジーpenséeやサクラソウprimevèreを植えておくと、冬中咲いてくれるので、さびしくなくておすすめ。暖かくなったら、ナスタチウムcapucineの種植えなどが簡単です。冬の霜を避けてやれば何年もオレンジや黄色の花が咲くし、サラダに入れるとピリッとしておいしい! ただアブラムシには注意してください」
パリの気候や公害は問題ではないですか。
「共同庭園で一番問題なのはむしろ人災。ゴミやタバコを投げ込む通行人が大迷惑です。柔らかい葉やつぼみにたかるアブラムシや、種を掘り出して食べる鳩も困るね。芽が出るまでは鳩除けのカバーをかけた方がよいことも。ナメクジ対策には、ビールを入れた容器を置いておくと、ビール好きなナメクジが溺れてくれるよ」
パリ在住の日本人の方へのメッセージは?
「やりたいという気持ちを大事にしてほしい。わからないことがあれば、一般開放日に来て質問して下さい。年20ユーロ(初年度のみ鍵代含め25ユーロ)で会員になれますから、自宅に場所がない人は一緒にやりましょう。僕自身は、田舎に住んでいた子供のころの自分の庭を、パリで取り戻せた気がしています。日本はフランス同様、古い園芸文化を持った国。日本的な園芸のアイデアを持ち込んで、パリの町をもっと美しくしてほしいなあ。(瑞)
●共同庭園 Leroy Sème
一般開放日は土14h30-17h30と日10h-13h。
6 Cité Leroy 20e(317 rue des Pyrénées付近)
http://www.jardin-leroyseme.org/
●代表的なパリの共同庭園
Potager des oiseaux : 3 rue des Oiseaux 3e
Jardin nomade : 48 rue Trousseau 11e
Le Lapin Ouvrier : place de la Garenne 14e
Les habitants de la butte Bergeyre :
80 rue Georges Lardennois 19e
その他の共同庭園はhttp://www.paris.frで。
●パリで園芸の講習を受けるなら…
Maison du Jardinage : 41 rue Paul-Belmondo 12e
Jardin des Serres d’Auteuil : 1 av Gordon Bennett 16e
Ecole du Breuil : Route de la Ferme, Bois de Vincennes 12e
以上の講習の問い合わせは01.5366.1400
●園芸について話し合う〈Café-Jardin〉
上記のMaison du Jardinageにて、毎月1回土曜の14h30-16h30に開催される。「町のミツバチ」、「庭の小さな動物」など、毎回違ったテーマを取り上げてそれぞれの意見を交換する。園芸仲間に出会うチャンス。参加費無料。詳細は01.5346.1919
高めの花壇。腰が悪い人も、立ったまま園芸ができる。白い網の物体は、蝶々寄せ。
作って日が浅いせいか、まだ蝶々は飛んできてくれないそうです。
チューリップを前にした共同庭園のメンバー。左の男性が、ロマンさん。
ナスタチウムは5月末までに種まき。
これはバルコニーでの栽培に適している小型の品種。
鮮やかな赤や朱、ピンク色のゼラニウム。バルコニーの手すりに植えると虫除けにもなるという。冬、零下になりそうな時は室内に移してあげよう。
春先に青い花をつけるムスカリ。
サクラソウは丈夫な多年生。暖冬だと1月下旬くらいから咲き始める。いろいろな色の花を混ぜて楽しみたい。
パンジーは秋に種をまく。