ディディエさんは、ずっと郵便配達夫の仕事を続けてきた。半年ほど前までは、オヴニーの編集部も配達区域に含まれていた。ディディエさんを観察していると、郵便物を届けるだけではない、通りすがりの人たちとの会話がついつい進んでいる。「話を聞いてあげて、できることなら手助けをしてあげることも仕事のうちだと思っている」とディディエさんは大きな笑顔。今でも時々編集部に寄ってくれて面白い話を聞かせてくれる。
そんなディディエさんと付き合っているうちに、オヴニーは年に1回だけでも、いろんな職業に携わる人にアプローチして、仕事の一日はどんな風になっているのか、どんな道具を使っているのか、周りの人たちとどんな関係を築きあげているのか、余暇をどうするのか、ルポしてみたい、と思った。
パリに住んでいる人たちの日常の喜怒哀楽が、もっとリアルになり、パリの町を見る眼も変わっていくのではないだろうか。
構成:佐藤真 文・写真:仲野麻紀、松本清子