青少年非行社会にどう対処するか。

 最近セゴレーヌ・ロワイヤル大統領選社会党候補が、非行少年対策として、16歳以上の軽犯罪者に軍隊組織で職業訓練や人道的活動を課すべきだと公言し、党内でもひんしゅくを買ったばかりだが、特に都市郊外での中・高校の教育問題とともに若年傷害犯の増加がメディアでも話題になっている。

 6月8日のサルコジ内相の報告によれば、02~06年の4年間で犯罪総数は8.8%減少したが、傷害事件は27.4%増加(この10年間で80%増)。内務省総合情報局の報告によると、05年度青少年非行件数79,987件(未成年者約34,000件)のうち、校内での凶器傷害事件は667件で前年比(385件)73.2%増。バットやゴルフクラブ(51%)、ナイフ(36%)などの常用化はいうまでもなく、ピストル(13%)による脅しや傷害事件も増えている。傷害事件は中学が一番多く46%、高校33.3%、技術校10.3%、小学校8%。そして非行が校内から街頭へと、教師、保護者の目の届かない区域へと拡散しているのは、携帯電話や現金自動支払機などの普及に起因しているよう。
 80年代以降、生徒らの憤懣は教師に向けられ教師の車の破壊行為が目立ったが、昨年秋の郊外の暴動で見られたように、若者らの不満は社会への怒りとなって乗用車への集団放火へと激化した。そして、以前は同級生や通行人の所持品をゆすりやひったくりで奪っていたのが、いまは遠くから目に止まったものでも、「野球帽が欲しかったから殴って盗った」と証言する15歳の少年もいる。言葉を不要とする理由なき暴力の横行といえる。

 そして最近目立っているのが、他人に暴力を加える現場の映像を携帯に撮り公開して楽しむハッピー・スラッピング。イヴリーヌ県のある高校の教室内で生徒による教師暴行の場面を友人が携帯で公開。今年1月、ニースの中学校の門前で13、14歳の数人の少年が一人の女子生徒を押さえ、口に無理矢理に男子生徒のペニスをくわえさせ、友人の一人がその映像を校内で公開したという。同市裁のルドン検事は「少年は自分という無の存在を映像によって実在化させる。被害者はバーチャルでしかない」と言う。仮想と現実の境界が除かれ、友人の非行場面がテレビのポルノや暴力場面と同次元の公開するものに。

 青少年非行の激化するなかでパリ郊外モンフェルメイユ市のルモワンヌ市長は、15~18歳の青少年が3人以上集合することを禁止したが、行政裁が施行中止命令を下す。同市に住む市長は、二人の娘が若者らに暴行を受け、他の娘二人も脅迫され、窓ガラスも割られ、非行社会の現実に直面している。(君)

Dico
délinquant (e)
(デランカン(ト) 名詞)
  窃盗、傷害などの軽犯罪は “délit” といわれる。テレビやラジオで “flagrant délit” という表現もよく耳にするが、これは「現行犯」という意味だ。非行は “délinquance” といい、こうした非行・軽犯罪を犯した人は “délinquant(e)” と呼ばれる。上の欄で取り上げられたような非行を働く青少年たちは “jeunes délinquants”。こうした非行の傾向を明らかにしようとしている機関が”Observatoire national de la délinquance(国立非行観察局)”。軽犯罪者たちは “tribunal correctionnel(軽罪裁判所)” で比較的短期間に裁判される。強盗、殺人などの重罪は “crime” と呼ばれ、”cour d’assises(重罪院)” で裁かれる。(真)