モンパルナス界隈の大きな敷地に、アトリエ兼自宅を構えるステファンヌさん。62年、アルジェリアの独立を機に、パリに一家で引き揚げてきたのは15歳の春だった。「あのころは漠然とモンマルトルやモンパルナスなど、多くの画家を魅了した地区に憧れていたけど、自分がここに落ち着くとは思いもしなかったわ」。ヴァヴァンの住まいを引き払い、ゲテに移って30年近い月日が流れた。「どの地区を好きかというのは、外観の美しさや快適さだけじゃなく、街との関わりで個人が作り出す物語によるんじゃないかしら」 自らを「パリの養子」というステファンヌさんにとって、「パリは想像するよりも複雑に細分化されていて、各地区の色彩は多様で、その場所特有の雰囲気がある」。パリの魅力は、どの区にもはっと目を見張るような風景が隠れていることだという。打ち寄せる波間から、とびきりの岩場を発見したような錯覚に陥ったのは、セーヌ左岸から見上げるパッシーの街並み。ファサードを取り払ったような、むき出しの印象を受ける外観は、まるで考古学の地層のような趣きがあるようで、彼女の目には「アンチックの街」と映る。「私はフレームから覗くだけで、これが真実のパリとは言わないけど、ここにはまるで隠れたパリの秘密が眠っているようだわ」 建物と空が奏でる優美な旋律や古風な美しさとは別に、損失に向かう寸前の、危ういもろさにも強く惹かれる。エミール・ゾラの『居酒屋』を通して好きになったのは10区。大通りに漂う庶民的な空気と埃にまみれた鋭い光には、時に暴力的なエネルギーを感じて、泣きたい気分にもなる。彼女にとって創作とは、存在意義を確認する作業であり、壊れた何かを修復するようなもの。「まるで子供のころに受けた傷を、永久に治し続けるような感覚なのよ」(咲)
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●Le Rosebud ステファンヌさんの「パリで唯一、一人でもくつろげる」バー。オーソン・ウェルズの『市民ケーン』のキーワード〈バラのつぼみ〉が名前の由来で、50年代にはサルトルが足繁く通った。自慢のカクテルをはじめ、ハンバーガーなどの軽食もあり。 11 bis rue Delambre 14e 01.4335.3854 M。 Vavin 無休19h~2h |
日動画廊にて「mythologies intimes」展を開催中(5/27迄):61 Faubourg Saint-Honore 8e |
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テクスト
www.sfr.fr/FR/utiliser/services/texto_mms_photos/texto/dico_texto/ “Le Dico Texto” |
Salut, Ca va bien ? Tu es everve(e)? Qu’est-ce que tu fais ? Tu me stresses ! Tu as ete voir quoi, au cinema ? Je t’appelle des que je peux… Je t’aime. Tu me crois ? 最近は、映画のタイトルもテクスト風になってきている。 |