「♪母と二人きり、僕はサラザト通りの古アパートに住んでいたんだ…」とアズナブールが『Comme ils disent』で歌った15区の通りに店を構えるプレリュード。テーブル席が6つというこじんまりとした空間が、親密な雰囲気を醸し出す。
かつてサン・ペテルスブルグでも店を持っていた熟練シェフのクリバンヌフさんが、サービスまで一人でこなす。メニューには、ロシア料理の伝統を生かしながら、さらに新たな味の探究を経てあみだされたオリジナル料理が並ぶ。例えばアントレのchoucroute a la russeは、リンゴのすり身とクミンの実の香りがさわやかで舌にとろける。メインのborchtch (ボルシチ) は、ビート (betterave)、キャベツ、豚肉の繊細な味のスープ。
そしてロシア料理といえば忘れてはならない愛しのブリニスちゃん。私は、スーパーでの食料買い出しの時に、まとめ買いするほどのブリニス狂。4種の味から選んだのは、鰊とサラダのブリニスでフレッシュクリーム添え。「ヒーまろやか」。気付くと日本語を連発してました。
さてさてデザートも格別。お薦めはkissel。果汁たっぷりの赤ゼリー? このドロドロ感が癖になります。ここでクリバンヌフさんが、笑顔でウォッカを持ってきた。「これも私が香りをつけました」。お見事! どこまでも澄みわたる透明感に、生まれて初めてウォッカの美味しさを体感できた夜でした。味、雰囲気、サービス、そして値段までもサンパなプレリュードにNa Zdorovie (乾杯)!(瑞)
1 rue Sarasate
Adresse : 1 rue Sarasate, 75015 Paris , FranceTEL : 01.4557.7768
アクセス : M° Boucicaut
11h30-15h/19h-22h 月休 ランチ67F。アラカルトのほかにコースメニュー (96F、170F)あり。