マクロン政権に抗する「服従しないフランス」。

レクスプレス誌2017年9月20日号「メランションはどこまで行くのか」

 政府主導により、労働法など種々の「改革」を急ピッチに進めようとするマクロン政権。これを「社会クーデター」と呼び反対運動の前線に立つのが、「服従しないフランス」(la France Insoumise :FI)だ。

代表のメランションは大統領選の第1回投票で19.6%を得票、共和党候補フィヨンに僅差で4位だった。続く総選挙で17人のFI議員が国民議会に選出され、14人の共産党議員と共に、一握りに激減した左派野党として敢闘している。圧倒的多数の与党 (共和国前進と中道モデム党)に加え、共和党と「建設的」会派、社会党内の政府に「協力的」な議員が超スピードで法案を可決していく中、FI議員たちの歯切れのいい反論と独創的な修正案は注目を集めた。

 FIは議会と同時に、実社会で市民と共に行動する必要性を重視する。9月23日の「社会クーデターに抗する」デモだけでなく、労組のデモや公務員デモ(10月10日)も呼びかけ、参加した。現に、政府の攻勢は続き、9月末に発表された2018年予算案は、不動産以外の富裕税廃止や資産運用収益への課税の一律化(30%)など、最も豊かな層を優遇する措置が象徴的なネオリベラル政策だ。「トリクルダウン理論(富める者から貧しい者に富が滴りおちる)は実証がないし、人々はおこぼれなど求めていない」とメランション。デモではマクロン大統領の失言(「怠け者」「とるに足らない人」など)をもじったプラカードも目立ち、庶民階層や弱者に侮蔑的な大統領の世界観に対する、人々の反発を示していた。

 昨年2月に発足した「服従しないフランス」は政党ではなく、大統領選キャンペーンの際にネットや各地の自主運営グループをとおして広がった、新しいタイプの政治運動だ。マクロンの決定を従順に実行する「共和国前進」と異なり、市民と専門家の協同作業で練られた政策綱領「共通の未来」を軸に、参加型民主主義の実践をめざす。民主主義再生のために憲法制定議会による新たな政体(第六共和政)の構築を掲げるほか、斬新なのは富の再分配にもとづく左派の経済・社会政策を、脱原発をはじめ環境との共生という必然から構想した点だ。生産・消費体制の抜本的改革はEUの緊縮政策に反するため、EU条約の再交渉は必至となる。この政策綱領を「現実性がない」と一笑に付す人は多いが、公益にもとづく人間的な社会をめざすビジョンはとりわけ若い層にアピールした。11月末の全国大会で今後の目標や編成が議論・決定されるFI運動の展開と抵抗(レジスタンス)に注目したい。(飛)


 

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