
フランスの5つの非政府組織(NGO)は7月22日、イスラエルによるパレスチナ占領に経済的に貢献することを禁じる国際司法裁判所(ICJ)の勧告にフランス政府が違反しているとして国務院に提訴した。国務院がNGO の訴えを支持する意見を出したとしても、実質的にはあまり効力を持たないが、象徴的意味合いは大きい。
ICJは2024年7月19日に出した勧告的意見において、イスラエル国の領土と、1967年以来イスラエルが占領するパレスチナの領土(ヨルダン西岸地区および東エルサレム)を明確に区別し、イスラエルによる違法なパレスチナ占領を支援する経済・商業活動をしないよう各国に促している。
この勧告に基づき、5つのフランスのNGOは、仏政府が占領地に関する投資や商業の制限という国際法を尊重せず、対策をとっていないことを違法と宣言するよう国務院に訴えた。提訴したNGOは、国際人権連合、国際法遵守のための法律家(Jurdi)、パレスチナ人のための国際司法センター、人権連盟など。
人権連盟は昨年10月にも、パレスチナ占領地に観光客向け宿泊を提案する蘭Booking.comや米Airbnbを戦争犯罪の共犯としてフランスで提訴した(捜査中)。こうしたNGOがパレスチナ占領の拡大に貢献する企業として挙げているのは、イスラエル企業のほかにはボーイング、ゼネラルモーターズ、グーグル、IBMなど米企業が多い。フランス企業では、今は撤退している鉄道のアルストム、イスラエル子会社を持つ通信SFR、東エルサレムのトラムウェイ設置に貢献した建設エンジニアリングのEgis、占領地区のイスラエル入植地とパレスチナ人居住区を隔てる分離壁の建設に貢献した建設機械製造Manitou社、占領地に出店するイスラエル小売業とフランチャイズ契約を結んでいるカルフールなどだ。
イスラエル入植地への経済的関与については欧州内でも議論されている。スペインは2025年10月にイスラエル入植地の産品の輸入を禁じた。アイルランド下院も同様の法案を7月8日に可決、ベルギーも18日、イスラエル入植地産品の輸入を禁じる王令を発布。オランダ政府も21日、入植地産品は9月22日以降、輸入を禁じると発表した。オランダはイスラエル入植地農産品の輸出の3分の1、EU輸入分の約半分を占める。しかし、ドイツやイタリアはこうした動きに慎重だ。
イスラエル占領下におけるパレスチナ人の人権侵害に加担する企業を告発するNGO「Global Echo Litigation Center」は今年6月に報告書を公表し、3万件に上るイスラエルの農産物輸出書類を調査した結果、イスラエルは入植地から農産品を違法に欧州に輸出しているとした。つまり、入植地産なのにイスラエル産と偽っており、そのことはオランダのアルバート・ハインや仏のカルフール、アンテルマルシェなど欧州の流通大手の関与なしには不可能とし、EUはイスラエルの占領政策の共犯者であると批判している。
ICJは2024年7月、イスラエルのパレスチナ領土の占領と違法とし、これを至急にやめるよう勧告しているが、米トランプ政権のイスラエル庇護のため効力は発揮されていない。ここでEU諸国が足並みをそろえてイスラエルに厳しい姿勢を見せれば、事態は変わっていくのだろうか? 現状は難しいとはいえ、国際社会の良識としてEUはそのような毅然とした態度を見せてほしい。(し)
