ありがた迷惑な贈り物?ジェフ・クーンズの『チューリップ』

リベラシオン紙に掲載された〈寄贈拒否〉寄稿文。

 アメリカ人アーチスト、ジェフ・クーンズがパリ市に寄贈を申し出た、巨大な塑像作品が物議を醸している。クーンズが、2015年11月の連続テロ事件の被害者の慰霊として寄贈するとした『チューリップのブーケ』だ。2016年11月に寄贈が発表された直後、すでに反対署名運動が始まっていたが、今になってその反対運動が再燃しているのだ。

 作品は、チューリップの花束を差し出す手をモチーフにしている。ブロンズとアルミニウム製の作品は、高さ12メートル弱、35トン。許可が得られ次第、この夏までにはパリ16区、パレ・ド・トーキョーとパリ市現代アート美術館の中間にあるトーキョー広場に設置される。ル・モンド紙によれば、クーンズは作品の〈コンセプト〉を寄贈。制作費は元ギャラリーのオーナーがメセナから300万ユーロを工面、作品は現在ドイツのクーンズのスタジオで100人ほどのスタッフが製作中だという。

 22日のリベラシオン紙には、元文化相フレデリック・ミッテラン、映画監督オリヴィエ・アサイヤス、アーチストのクリスチャン・ボルタンスキー、建築家のドミニク・ペローなど文化関係者約20人が署名する寄稿文が掲載された。彼らは、6つの観点から反対を論じている。

反対する理由

・配置予定の地下には、美術館の展示室があるので35トンの作品を置くのは危険。
・クーンズは「テロの酷い経験を乗り越えるための寄贈」としているが、作品も配置場所もテロと関連がない。
・周囲の建物との調和、この広場から見えるエッフェル塔の眺めなど、美観を損ねる。
・このような文化的・歴史的に誉れ高い場所に配置される芸術作品ならば公募すべき。
・80年代の作品は革新的だったクーンだが今では産業的、ショー的、投機対象としてのアートの象徴に成り下がっている。このような場所に彼の作品を置くことは、アーチストの宣伝行為である。
・作品制作費350万ユーロはメセナが出すと言うが、メセナの寄付金は税控除されるから、国、納税者とってマイナスである。また重量のある作品を設置するための地盤固めの工事費用がかかる。

 これに対して擁護派は「設置予定場所からは、エッフェル塔は見えない」「作品設置工事費、人件費などにかかる税収は見込める」「署名運動を始めたステファヌ・コレアの妻は現フィリップ首相の文化顧問であり、これはマクロン政権から、パリ市のイダルゴ市長への政治的抗議にすぎない」などと反駁している。

最終判断はニセン文化相が下す。大臣は近日中にクーンズと会う予定だ。(六)