欧州委員会委員長を10年務めたジャック・ドロール氏が昨年12月27日に亡くなり、1月5日、パリ市内アンヴァリッドで葬儀が行われた。享年98歳。欧州共通通貨ユーロ導入や、欧州加盟国間の大学協力と交流計画エラスムスほか、欧州構築を推し進めた主要人物として讃えられ、葬儀には欧州加盟国および欧州機構の新旧首脳らが参列した。
ドロール氏は1925年パリ生まれ。父親はフランス中央銀行勤務。45年ころから仏キリスト教労働者連盟(現CFDT)で活動。大学では法学を修め、その後はスポーツ記者や映画分野にも興味があったものの、フランス中央銀行で働きながら公務員試験の受験勉強をする。
69年から72年までシャバン=デルマス内閣参与するも、74年社会党入党。1981年から84年モロワ政権で経済相を務めながらクリッシー市市長を1年間兼任。85年から95年まで欧州委員会委員長を務めた。1995年の大統領選挙では社会党の有力候補として期待されたが辞退。フランス銀行勤務時代に出会った妻マリーと2子をもうける。社会党重鎮でリール市長のマルティーヌ・オブリー氏はドロール氏の娘。
幼少を過ごしたパリ市内メニルモンタン地区ではサッカーで遊び、サッカー好きとして知られ、朝はまずL’Equipe紙を読むのが日課だったと言われる。ジャズを好み、葬儀ではラ・マルセイエーズ、欧州連合歌「喜びの歌」のほか、ジャズが演奏された。今月末ごろにはブリュッセルでもセレモニーが予定されている。(六)