7月の2週間、ミラは東京の小学校に体験入学した。一年生は学年に2クラス。隣のクラスにも体験入学でアメリカから来た子がいた。学校側は外国から子供を迎えることに慣れており、初日から歓迎モード。「半ガイジン顔はイジメられる?」という心配は全くの杞憂(きゆう)に終った。
今回通った台東区の学校は公立でも伝統的に制服(標準服)がある。ミラは制服がいたく気に入った様子で、ブラウスやプリーツスカートは放課後も脱ぎたがらない。ついには「写真撮って?」といろんなポーズで迫ってきた。授業は国語、算数はもちろん、絵日記を書いたり工作したりと盛りだくさん。掃除や日直、給食当番も新鮮な体験だったよう。上履きに履き替えることさえ「いつもの靴が長生きするね」と喜んだ。
さて日本では一年生でも、子供だけで登下校をさせるのが基本。一方フランスでは、低学年の子には大人の送り迎えが義務だ。私としてはフランス式に慣れているから、子供だけで歩かせるのはとても不安。しかしミラは「私は赤ちゃんじゃない、ママは来ちゃダメ!」と主張する。しょうがないので、結局ミラが友だちと歩く後ろを、30メートル位後から尾行することに。なんとなくスパイにでもなった気分を味わえた。
こうして脳みそも溶けそうな猛暑の中、日に日に伸びる建設中の電波塔スカイツリーを仰いで通った体験入学の日々は夢のように過ぎた。(瑞)