夏になるとフランスのあちこちで演劇祭が開かれる。
まずは今年で64回目を迎えるアヴィニョン演劇祭(7/7-27)。開催側と協力しながらフェスティバルの構築を練ったメインアーチストは、スイス人演出家クリストフ・マルターラーとフランス人作家オリヴィエ・カディオ。スイスのドイツ語圏出身のマルターラーは、ブレヒトとミュラーに代表される20世紀ドイツ演劇の継承者ともいえる演出家で、フィリップ美男王とボニファティウス8世の対立からフランスに教皇庁が設置された経緯、つまりアヴィニョン教皇庁の歴史と深く関わる作品『Papperlapapp』をメイン会場の教皇庁広場で発表する(www.festival-avignon.com/fr/Spectacle/1)。またアヴィニョンの街中の至るところで演じられる小劇団の作品やパフォーマンスを集めたオフで、新しいアーチストを発見するのもいい(www.avignonleoff.com)。
パリ近郊のイヴリー・シュル・セーヌ市では今年で12年目を迎える〈Nous n’irons pas à Avignon〉というフェスティバルが7月25日まで開かれている。バラエティに富んだプログラムが用意されているので、アヴィニョンに行けない(行きたくない?)方はのぞいてみよう(www.gareautheatre.com)。
バカンスで近くに出かけることがあったら、ロレーヌ地方ビュサンで開かれる〈Théâtre du Peuple〉というフェスティバルへ(www.theatredupeuple.com)。今年で115回目を迎えるというフランス最古の演劇祭だ。プログラムはアヴィニョンよりもかなりゆったりとしたものだが、それが合っているという人も多いにちがいない。
なにはともあれ夏! ですからね、あちこち旅していろんな出会いをしたいものです。(海)
写真:アヴィニョン演劇祭。