そもそも「映画が成功した」とは何をもって言えるか。作品の質? それは曖昧。観客数?それも意外に曖昧。なぜなら『アステリックス』の最新作は670 万人の観客を集めたが、最低1千万人の観客を見越し100 億を浪費したから、どちらかといえば失敗作だ。では「予算に対してもうかった映画」ならどうだろう。かなり目安にはなりそう。昨年の仏映画で、予算に対しもうかったランキングをみると、1 位『Bienvenue Chez Les Ch’tis』、2位『Mariage chez les Bodin’s』、3位『Entre les murs』、4位『Vilaine』、5位『Enfin veuve』、6 位『Le premier Jour du reste de ta vie』、7 位『Il y a longtemps que je t’aime』、8位『Comme les autres』、9位『Paris』、10位『Disco』となる。『Bienvenue』は当然だし、他も「コレか」と、納得せずとも理解はできる。だが2位の『Mariage chez les Bodin’s』だけは謎。製作費も94 000 ユーロ(約1270 万円)と異様な安さ。これは『Bienvenue』の120分の1の額だが、なんと12万人の観客を集めたとか。しかし周りに聞いても見た人は皆無。それもそのはず本作は『Bienvenue』に負けない「地域密着型」なのだ。中部サントル地域に公開を絞った本作は、地元で有名な劇団俳優が登場するフェイク・ドキュメンタリー。結婚を控える50 代男の10 日間を生々しく追ったコメディらしい。結婚式のシーンは地元のボランティアが大量出演。公開時には「オラ映ってるか?」と映画館に駆けつけた人も多そう。なんだか妙に気になる作品なのだ。(瑞)