地下鉄車内で、路上生活者SDFや失業者たちが物乞いをしている光景は、パリに住んだら誰もが目にするもの。キリスト教の影響か、小銭をあげる人も意外に多い。個人的には、働くことが可能だろうにとか、小銭では失礼ではとか、色々考えてしまって難しい。
そこで「地下鉄の車内や駅構内、または街頭で、SDFや失業者に小銭をあげたことがあるか」を集計*した。
あげたことのある人は、過半数の54%。ないと答えた人が46%。これに対し、地下鉄ミュージシャンの場合には、あげたことのある人は82%とぐんとアップし、ないと答えた人は18%と少数だ。恵まれない身の上の人に同情するより、音楽で楽しい気分にしてくれた人にチップ、というほうが心理的にラクなようだ。
あげる人の意見としては、「パリに来た当初はよくあげてた」同様3件。「気分次第」同様3件。「SDFや失業者にお金を渡すのは反対なので食べ物を」「小銭があれば」「〈父は政治犯として投獄され〉と見事な演説をした18歳位の女の子には反射的に1e渡した」「困っている人に同情する気持ちを失いたくないので必ず」「財布を出さなくていいようにポケットに小銭を入れている」「寒い日に街頭に立つ物乞いには義務を感じて」「カフェでチップしない分SDFに。食べ物も多いが、マドレーヌをあげようとしたら〈こんなものいらん〉と怒られた」
特にミュージシャンについては、「演奏が上手な人にだけ」同様8件。「音楽でいい気分にさせてくれるなら1€」「あげたくなる人はごくまれ」
あげない人の意見としては、「あげたいことは多々あるが、何となくあげそびれる」「失業者には本当の支援にならないと思うので」同様1件。「怖さが先に立ち、一度もあげたことはない」「乞う前にまずは働けと言いたい」「読書や考え事をするのに騒音、物乞いは邪魔。絶対にあげない」「友人が小銭をあげたら投げ捨てられたから」とのこと。(里)
*2008年4月 OVNI 編集部調べ