思春期の娘とそのママン。2人それぞれの恋愛模様をパラレルに描いた映画『LOL(laughing out loud)®』が、観客数300万人を突破し大好調だ。本作の中で、サルコジ時代の仏版アラフォー(40歳前後の女性)を軽やかに体現するのが、国民的女優N°1ソフィー・マルソーなのである。
13歳で青春コメディ『ラ・ブーム』に主演し、瞬く間にスターの仲間入り。その後はアイドルから脱皮を図るべく、モーリス・ピアラや後に伴侶となるアンジェイ・ズラウスキーの作品で演技派の道を模索。さらに国際派を目指し、メル・ギブソン監督の『ブレイブハート』や『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』に出演。仏・伊・独の合作だった巨匠ミケランジェロ・アントニオーニの『愛のめぐりあい』ではもっぱらヘアヌードが話題に。さらに勢い余って監督業にも手を染める。常に冒険を恐れぬ彼女だが、振り返ると『ラ・ブーム』以降、代表作となる決定打に欠けてきた。だがここにきて『LOL』の成功。やはりマルソーは「国民的スター」として輝く時こそ、最もその真価が発揮されるのか。彼女にはお芸術も、国際舞台も、監督の看板も必要ない。同世代の女優がカサカサと老い枯れゆく中、親しみやすく永遠に瑞々しい彼女の笑顔は、フランスの国宝でもあるのだ。(瑞)