2003年に『ラクダの針の穴』という処女長編を監督した女優ヴァレリア・ブルーニ=テデスキが、40代に突入する一人の女性像を描く。ブルーニ=テデスキ演じる主人公は、ツルゲーネフの『村のひと月』の主役に抜擢された有名舞台女優。ただキャリアを築いたのはよいけれど、私生活ではステディな相手も子供もなく老いた母親と同居し、密かに「子供を授けてくださるなら今の名誉や栄光を捨てます」と教会のマリア像に祈りを捧げる毎日だ。40歳といえば、自分の「これまで」と「これから」について考える時期。主人公の葛藤は同世代の私には切実に映るけれど、深刻になりすぎないよう泣き笑いのユーモアを織り込むのがブルーニ=テデスキ風で好感が持てる。(海) |