貧乏暇なし。啄木風にぢっと手を見てばかりの私は、どうしても幼稚園やcentre de loisirs(市のレジャーセンター)にミラを時間いっぱい預けがち。しかもジルと別居後は家事も私ひとりの肩にのしかかる。口を開けば「あそぼ」と迫るミラに「待って」と背を向け、たまった家事を片付けねばならない。どうすれば短い時間でミラと深く楽しい交流ができるのだろう。 そんな思いをふつふつと抱いていた時、偶然日本人アーティストさんの子育てに関するインタビューをネットラジオで聞いた。その方は家の中に手作りの郵便ポストを設置し、娘さんと手紙交換をしているという。素晴らしいアイデアと、早速私は飛びついた。まずミラと一緒に段ボールでポスト作り。それからはミラが学校にいる間、手紙をポストに入れておくのが日課になった。毎回イラストや手紙の折り方などを工夫するのは楽しいが、ネタ切れになりそうでひと苦労。しかしうっかり手紙を忘れた日は悲しそうな顔をするので、なるべく簡単な手紙でも入れるようにする。最近はミラが「ママに手紙来てるよー」と呼ぶので、ポストを開けると幼稚園で描いた絵が入っていた。そんなことをジルに電話で自慢したら、嫉妬したらしく、翌日メールで「ミラ・ポストに入れといて」とミラにイラスト付きの手紙を送ってきた。ジルのどうしようもなく下手な絵に泣けそうである。(瑞)