● 医者の道を捨てエレキギターを再び手にとる青年。現代フランス映画が得意な「30代男の自分探し」ものかと思いきや、主人公に戸惑いはあれど、迷いはほ とんどなし。タイトルの「我を愛する者は我に従え」とばかり、突然かつてのバンド仲間、そして偶然見初めた歌姫を自分の方へ引き寄せようと奔走する強引 さ。だがそんな迷惑男的振る舞いも、マチュー・ドゥミのチャーミングさがすべてをチャラに。実力派・二世俳優らの競演と、容赦ない人生の断片も描いた監督 ブノワ・コーエンによるシナリオの巧みさで、「人生、いつだってやり直し可能」「死んだ時に後悔しない生き方を」云々の紋切り型さえ、違和感なく呑み込め る。(瑞) |
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