葉巻をふかし酒をがぶ飲みしながら修道尼2人が「長い間準備してきた作戦」を話し合っている。続いて登場する3人目の尼さんは口がきけず耳が聞こえない。なんだか男臭い彼女たちの仕草と声色からやっぱり本物の男だ! と確信したところで彼女、いや彼らの「獲物=犠牲者」が登場し、同時に窓の外では革命の火ぶたが切られる。修道尼たちは、革命を逃れ出国しようとする富裕階級から金を巻き上げ、しのぎを削るしがない市民たちだ。その修道服の裏には、宗教や革命が人々に与える幻想の限界が見え隠れし、結局は個が一番大切なのだとメッセージを送る。 作者はキューバ出身エドゥワルド・マネ。カストロ政権に幻滅し亡命の後、パリにたどり着き劇作家としてデビュー。マネの劇には、ベケットやイヨネスコのような不条理さの存在に加え、その底辺に流れるラテンの熱い鼓動が感じられる。このラテン気質は、同じく宗教をエキセントリックにそして辛辣に揶揄しパリで活躍した、やはり南米出身、コピの演劇に通じるところがある。 ステファン・ビエリー(演出も)、アントワーヌ・バスレー、ピエール・フォレストの「妙に男っぽい尼さん」姿が見もの。(海) |
火-土21h、土マチネ18h、日15h。
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●Sir John, agent secret Sirジョンは、ジェームス・ボンドとMrビーンの中間にいる二枚目半の秘密諜報員。諜報部からの使命をこなすべく南の島へと旅立つけれど、さまざまな苦難に行く手を阻まれる。オリヴィエ・トーマスの創作性と全力投球で1時間があっという間に過ぎていく。役者と観客が小さなスペースを分かち合う喜びがカフェ・テアトルにはある。映画に行くように気軽にどうぞ。Point Virgule : 01.4278.6703 |
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DANCE | |
●Meg Stuart, Benoit Lachambre, Hahn Rowe “Forgeries, Love and other matters” 男と女、二人は柔らかくも荒涼とした空間で互いにかかわりを繰り広げる。身体・心の闇をまさぐりながら。その葛藤の舞台上で、音は供され重なっていく。それぞれ、振付家・踊り手として活動している二人は以前にも同じ舞台に立っている。ともに、今の時代の中での自己の在り方を見つめるために、精神と切り離せないものである「身体」とその可能性を探り続け、そこに現れる「自身の内面の経験」は、観る者の意識を呼び覚まし、感情そして無意識のうちの個々の記憶までをも刺激する。そこに共感や反感を覚えること、つまり舞台のこちらとむこうでの両者の思いの交流そのものが意義であり、舞台作品の醍醐味だと痛感。(珠) |
8日、10日、11日、12日/20h30、 13日/15h。17€/11.5€。 Thatre de la Cite internationale : 17 bd Jourdain 14e 01.4313.5050 |
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