フランスに住むようになって、「変な形?」「これは何だろう?」と疑問を抱く日常生活のオブジェがたくさんある。仕事でマルセル・デュシャンのことを調べていた時、彼の一連の “Ready-mades” 作品のひとつである “porte-bouteilles” に出会った。
“hérisson(ハリネズミ)” とも呼ばれるこのオブジェは友達のドニーズの家にあるものと同じだった。ワインの好きなドニーズは、BHVで買ったこのハリネズミに、きれいに洗ったワインのビンを差し込んで乾かすのだ、といっていた。そう、デュシャンは「面白い」と思った市販のオブジェを芸術のオブジェに変身させる。その自由な発想がすごい。
便利なもの、面白いもの、古くから存在するもの、とんでもないガラクタなど、私たちの日常生活は物で溢れている。フランス人の生活シーンによく登場する物=オブジェの一部を紹介したい。皆さんにはお馴染みのものばかりかもしれないが、私にとっては全て新鮮な驚きを与えてくれたものばかりだ。(海)
文:木村ひろみ
写真:ドニーズ・ブルボネ
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