メトロ “Grands boulevards” 駅界隈の繁華街をちょっと入った裏道に、昔のパリの映画シーンに出てきそうなシャンソニエが今でも残っている。暖かくなると、道ばたにもイスやテーブルがおかれ、人々はアコーデオンにあわせて楽しく陽気に歌い、踊るという。 Au Limonaireの店内はとても狭く、50人ぐらいしか座れない。年季のはいったソファー、古びたピアノ、壁は鏡がおおうレトロな空間だ。87年から続くこのお店、昼間はミュージシャンの練習場所としても使われている。 夜10時からは、月曜日以外、毎晩コンサートがおこなわれている。入場料はなく、演奏の後に、帽子に50F以上の心付けをいれるシステムだ。食事は8時から始まり、テリーヌなど特製の手料理が味わえる。 毎週火曜日は、おすすめの歌手のプロモーションを兼ねた企画が組まれていて、プレスやレコード会社関係者も見に来るショーケース的な役割を果たす。 第1日曜日は、夕方6時からダンス会場に変身する。老若男女が入り混じり、狭いスペースで押し合いながら、踊りに興じる。昔の慣習にならい、20分ごとに5Fをミュージシャンたちに支払うことになっているのだそうだ。 第3日曜日は無声映画の夕べ。アコーデオンやピアノの伴奏で楽しめる。 パリに数少なくなったシャンソニエを守り、シャンソンを広めようという努力と結束が感じられるプログラム内容。長く続いて欲しい貴重なお店だ。 (尚) |
*Au Limonaire |