パリに残る数少ないシャンソニエの中でも、観光客にあまり知られていないのが、地下鉄Nation 駅近くにある “Les Uns les Autres”。40席ほどのこじんまりとした店内の片隅にステージがあり、この道15年のオーナー、ドリス氏が厳選したプログラムで、毎週水曜から土曜までの4日間、シャンソンのライブ公演がおこなわれる。 入場料はなく、歌が終わったあと観客の間に帽子が回ってくる。この帽子に入れられるお金が音楽家の収入となる。「プログラムを組むほうにも、歌手の側にも質と真剣さが問われる」とドリスさん。 口コミでこの店の存在が知られるようになり、今ではパリはもちろん地方からもお客が訪れる。伝統的なシャンソンから現代風にアレンジされた曲、政治や社会を風刺し、人生や愛を語るシャンソン。歌詞が理解できると感動はより大きくなるだろう。ライブの後、ミュージシャンと直接語り合えるのも、この店ならではのひとときで、店全体がドリス氏のサロンのような親しみに満ちた場となる。 夕食を7時ごろから始め、デザートを終えて食後酒のグラスを片手に、10時ごろから始まるコンサートを楽しめる。食事と飲み物の内容は充実していて、パリの中心地に比べると割安な感じがする (ワイン 48F~280F。アントレ+メインまたはメイン+デザートのコース 85F。フルコース 105F)。 (尚)
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