役者B(ピエール・アルディティ)はある朝、セクシーな女警官から殺人容疑者として警察へ出頭するよう言いわたされる。それからというもの、口ばかり達者で役立たずのBの弁護士(ミシェル・オーモン)、女装癖を持つ裁判官(マルセル・マレシャル)、Bが主演する舞台『ハムレット』の登場人物たちや演出家が入れ替わり立ち代わりBの前に現れるのだが、さて、Bにはだんだんどれが夢でどれが現実か、わからなくなってくる。
アルゼンチン出身コピの作品2本立て。誕生日に母親から巨大な冷蔵庫をもらって当惑する男の一日を描くLe Frigo(冷蔵庫)と、終日椅子に座ることを仕事に持つ女を描いたLa Femme assise (座る女)。人間の孤独、死や老いへの恐怖、暴力性、アイデンティティの喪失などを、言葉とイラストと自らの肉体で、時にはグロテスクといえるほどたっぷり(ブラック)ユーモアとともに表現したコピの世界。彼が崇拝した同郷の演出家アルフレド・アリアスと女優マリルー・マリニによって描かれる。 途中緩慢さが感じられるLe Frigoには気持ちが少し冷めてしまったが、La Femme assiseのマリニが見せる素晴らしく肉体的で表現豊かな演技(この作品はもともとマンガだった)に心を熱くして…やれやれ気持ちよく帰途につくことができた。 2/28迄。(海) * Theatre National de Chaillot : 1 pl. du Trocadero 16e 01.5365.3000. 火−土20h30 日15h 120F/160F
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