フランスでは年末にガソリンスタンドでの軽油価格がついに1リットル1ユーロを切った。2009年夏以来の安値だ。原油価格が下落しているためで、英国産標準油種の北海ブレントも米国産標準油種WTIもバレル当たり37ドルに落ち込んだ。12月4日に石油輸出国機構(OPEC)が生産量を制限しないと決定した上、イランの経済制裁も近く解除されるため、原油・石油製品の世界的な供給過剰は今後も続くと予想され、2011~14年レベルの100ドル前後に戻るのは数十年先と見る専門家もいる。経済専門家は原油価格下落のおかげでフランスの企業と家計がそれぞれ100億ユーロの恩恵を被るとしているが、企業は原油・石油製品価格低下を他の出費に充てるため、軽油・ガソリンの値下げ以外での消費者への還元は少ないと見られる。一方、打撃を受ける石油業界ではリストラが懸念される。(し)