1年近く続いていたフランスのリゾート企業クラブメッド買収合戦は、1月2日にイタリアの実業家が買収を断念したことで中国の巨大複合企業「復星国際」に軍配が上がった。郭広昌氏率いる復星国際は2010年にクラブメッド株を10%弱買収して主要株主の仲間入りをし、中国におけるパートナーに。2013年5月には同社全株への友好的株式公開買付け(TOB)を提案した。しかし、このTOBに小株主が反発して金融当局に提訴した上に、2014年5月にはイタリアの実業家アンドレア・ボノミ氏率いるグローバル・リゾートがクラブメッド株10.07%を買収しTOB阻止に乗り出した。買収提示額も当初の1株17.5ユーロから両陣営の度重なる引き上げで2014年12月には24.6ユーロまでつり上がり、結局ボノミ氏が断念。
1950年に非営利団体として誕生したクラブメッドは急激な発展を遂げ、事業拡大で業績が悪化したものの、2002年からは高級化と国際化を目指し、中国、ブラジルでのリゾート村開設を推進。新興国の富裕層を狙った事業展開により業績を挽回する意向だ。フランスのリゾート企業が中国資本に渡ることは非常に象徴的な感じがする。(し)