造船のSTXフランス社(サン・ナゼール)造船所は12月4日、2隻の豪華客船を受注したと発表した。発注したのは米ロイヤル・カリビアン・クルーズ社で、2900人乗りの世界最大級の豪華客船。受注額は約20億ユーロに上る見込み。世界の船舶産業の停滞によって経営が悪化した親会社の韓国STX造船海洋が、2013年春に子会社のSTXフランスとSTXフィンランドを売却すると発表して以来、存続が懸念されているSTXフランスにとっては朗報だ。
STXフィンランドは、独マイヤー・ヴェルフト社にこの夏売却が決まったが、STXフランスの方は、韓国サムスン重工業、三菱重工業、伊フィンカンティエリなどの名が挙がったが、いずれも具体的な交渉には至っていない。サン・ナゼールの造船所(従業員2050人)は歴史あるフランス随一の造船所で、中国、韓国などとの熾烈(しれつ)な国際競争をくぐり抜け、近年は客船に特化して健闘している。ロシアへの空母納品が保留になっているものの、受注も2019年まで埋まっていて経営は順調であるだけに、いい売却先を見つけてフランスの造船産業を安定させて担ってほしいものだ。(し)