ブルターニュ・インターナショナル日本代表、依田隆夫氏
ブルターニュはもともとケルト文化の地で、フランスの他の地方とは異なる歴史や文化の背景を持つ。依田氏が日本代表を務めるブルターニュ・インターナショナルは、世界各地に約60人ほどの代表を抱えて、パリの中央政府を頼らず、自らの手で企業誘致や投資促進、中小企業のマッチングなどを積極的に行ってきた公立、無償のサービス機関である。
依田氏はもともと日本企業に勤め、フランスで1980年から90年まで働いた体験を持つ。それ以来、フランスとの付き合いは30年にも及び、何に気をつけて、どうすればいいかを、実体験として身に付けている。
現在ブルターニュには情報通信、自動車関連、食品、海洋工学などの日本企業が何社も進出し、活発な活動を展開している。「こういう協力関係は、双方の感性が分からないと、ちょっとしたことで誤解が生じダメになってしまうので」、依田氏のようなフランスのためにもなり、日本のためにもなるビジネスコーディネーターが必要なのだ。
ブルターニュ半島突端のブレストは昔からの軍港で、横須賀とも50年もの交流の歴史があるが、依田氏は情報通信分野での協力関係も作り上げ、ベンチャー企業などによるビジネスマッチングが進行中。
また仙台とレンヌとの交流は40年の歴史があり、去年の東日本大震災の時には50万ユーロもの支援が送られたほど。また大震災で宮城のカキが全滅し、その稚貝を輸入していたブルターニュでは1万人近くが失業する恐れがあったものの、依田氏の支援で海草へも産物を多角化し、健康補助食品や海草サラダなどへの進出を図っている。
また大阪商工会議所では、エレクトロニクス関係の企業から使節団がブルターニュを訪問したり、自動車、航空機といった分野を得意とする名古屋からも活発な交流活動が続いている。
海と深く結びついたブルターニュは、潮流、潮汐、波力などの海洋エネルギーを利用する技術にも長け、自然エネルギーによる電力自給率を将来20%にまで高める方法も模索中だ。これには日本政府部内も大いに関心を示し、相互訪問が始まった。
「日本の県知事は霞ヶ関詣でを止めたらどうでしょうね」と依田氏は辛辣だ。フランスの県知事は地元の魅力をアピールし、企業や投資を誘致し、雇用を増やし、法人税や所得税が入るように努力する。たぶんこの記事が出る頃、依田氏はこのブルターニュからの使節団の来日で多忙を極めているはずだ。(慎)
ブルターニュ・インターナショナルHP
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