ワインの喜びを分かち合う。

エクサンプロヴァンスにて。
エクサンプロヴァンスにて。
 由佳子さんは、ワインとの出会いからフランスと関わるようになった。
 食を専門とする出版社で働いていた頃、ワインの魅力に惹かれ、ワインの勉強を始めた。なかでも一番体系化されているフランスワインは、基本になった。学ぶうちにどんどん面白くなり、ワインに関わる仕事をしたくなり、新しく東京に支社を開いたフランスワインの輸入商社に転職した。
 営業、マーケティング、仕入れ、商品戦略など、ほとんど全てを一人で任せられたが、フランスワインを扱うのにフランス語ができないのは不便で、フランス語の勉強を始めた。通訳をしてくれる人もいたが、フランスの生産者とのつながりもできてくると、直接コミュニケーションがとりたくなった。転職して2年、いったん辞めてフランス語を勉強しようと決めた。
 由佳子さんの目的ははっきりしていた。ワイン関係の仕事で使えるようなフランス語能力をなるべく短期間で身につけること。ワインの産地の近くで、なるべく効率良くフランス語を学ぼうと、まずは会話中心の集中講座が充実していたエクサンプロヴァンスの学校、次は商業フランス語の資格がとれるアンジェの学校に行くことに決め、大学院を出て10年近く経っていたが、フランスへ勉強に旅立った。
 フランスでは、言葉の習得と同時に、週末や休みになると、フランス各地のワイナリーを巡るなど、ワインの知識も増やした。2年弱の凝縮されたフランス滞在で良かったことは、まわりにいた人たちが特にワイン通でもワインが好きな人たちでもなかったことだという。フランス人でもワインを飲まない人も多くいる。シードルしか飲まないブルターニュの人もいれば、地元のワインしか知らない人もいる。日本人には「高いワイン」の代名詞でもある「ロマネ・コンティ」のことを知らないフランス人と会った時には軽いカルチャーショックを受けた。
 商業フランス語の資格を取った後、近くにあったワインのビジネスを勉強できるところに行きたいと思ったが、「勉強自体が目的になってしまうことが怖かった」という。「ある程度のところで見切らないと」の思いで日本に戻った。
 日本に戻って6年、現在は、ワインや料理関係の雑誌の編集やコーディネイトの仕事、ワイン関係の通訳など、ワインと食に関する仕事をしている。フランスに行き、フランス語を身につけ、ワインとは関係のない人たちと過ごしたことで、ワインと素直に向き合えるようになった。
 最近『ワインに合うフランスとっておき田舎レシピ』(阪急コミュニケーションズ)を出版した。ワインと食を通じて、「人を幸せにする仕事をしたい」という由佳子さん。まだまだやりたいことの道半ばだという。
 ワインの魅力は、「飲んだときに景色が浮かびますし、人と語り合え、喜びを分かち合えることです」という由佳子さんにとって、幸せはワインと共にありきだ。(樫)

Le bonheur du vin à partager
 ITO Yukako (2 ans à Aix-en-Provence et à Angers)
Pour Yukako, tout a commencé par la découverte du vin alors qu’elle travaillait dans une maison d’édition. Accumulant ses connaissances sur ce sujet, elle finit par démissionner pour travailler dans un bureau d’importation de vins français. C’est là qu’elle commence à apprendre le français, et plus elle tisse des liens avec des vignerons français, plus l’envie la gagne de mieux communiquer avec eux. C’est ainsi qu’elle quitte son travail pour aller peaufiner son français en France.
Pendant son séjour de moins de deux ans à Aix-en-Provence et Angers, une des choses que Yukako a appréciées, cela a été de rencontrer des gens qui n’étaient pas forcément amateurs de vin ; elle a pu côtoyer un Breton qui ne buvait que du cidre, des Français qui ne goûtaient que des vins locaux ; et ce fut un choc pour elle de croiser un Français qui ne connaissait pas la « Romanée-Conti», très connu au Japon.
Cette expérience lui a permis de reconsidérer sa démarche vis-à-vis du vin, et six ans après son retour au Japon, elle veut « apporter un peu de bonheur aux gens» en travaillant en rapport avec le vin et la cuisine.
樹齢80年以上のカリニャンというブドウの樹。

樹齢80年以上のカリニャンというブドウの樹。