サン・ミシェル広場からジベールがなくなる。
サン・ミシェル広場の書店「Gibert Jeune」が3月末で閉店となる。2、5、6、10番地と、広場を囲むように並んだ店舗。数ヵ月前から納品がない店内はガランとし、店の前に並んでいた特売本棚やワゴンもほぼなくなった。掘り出しものを探す本好きたちも姿を消した。
開店は1888年。オーヴェルニュから上京しセーヌ河岸でブキニストとして本屋を始めたジョゼフ・ジベールは、最初の小さな店をサン・ミシェル河岸17番地に、そして23、27番地に構えた。ジョゼフが1915年に、ジベール夫人も1929年に亡くなると、ふたり息子の兄ジョゼフが「ジベール・ジョゼフ」を、弟レジスは「ジベール・ジュヌ」の看板を掲げる。兄は地方都市にも事業を拡大、弟は市内サン・ドニ店を開店。どちらも新品、古本を一緒に売り大成功。レジスの息子ふたりの時代になると、サン・ミシェル広場に4店舗を構え、1971年には広場5番地の建物を買い旗艦店とした。
この地区の古書店 「Boulinier」の大きな店もファーストフード店になるそうだ。零時まで営業していたサン・ジェルマン・デプレの交差点の書店数軒もなくなって久しく、ソルボンヌ広場のPUF書店も飲食店になった。時代とともに町が変わるのは当然とはいえ、13世紀にソルボンヌ大学が創立されて以来フランスの「知」の中心となったカルチエ・ラタンはどうなるのだろう。
もっと辛いのは店員さんたち。「今後のことは知らされていない」と表情を曇らせた。70人ほどが解雇されると報じられている。
※「Gibert Joseph」は、「Gibert Jeune」を2017年に吸収。
サン・ミシェル大通り26番地の書籍、30番地の文房具、34番地の音楽・BDを扱うGibert Joseph店舗は営業継続。
サン・ミシェル河岸23、27番地の Gibert Jeune は、パリ市の援助を受けて継続する。
サン・ドニ店は未定。